本学では、実社会で役立つビジネス思考のトレーニングで、単に就職することに留まらず、就職後の成長を見据えた指導方針を採っています。仕事をする上での考え方、問題点の見つけ方などを学生時代に身につけさせるために就職活動のノウハウの提供を中心ではなく、学生一人ひとりのキャリアプランのための「本質」の支援を展開しています。また、本学の取り組みに関して各企業採用担当者に評価いただき、その結果を踏まえよりよい支援を行うよう努力しています。また、「社会人基礎力」に関する調査を行い、求められる人物像の分析と必要な支援を常に検討しています。
社会情勢・雇用情勢の理解と今後の動向など、様々な背景の理解を皮切りに、本格的なキャリア支援は3年次から職業意識の成長に合わせて、「萌芽期」・「醸成期」・「高揚期」の3つの段階を経て行います。ここでは、「醸成期」のガイダンスを例にとります。「業界・企業研究の進め方」「実践的表現の手法」をレクチャーするとともに、ワークショップを通じて、物事に対する客観的な視点を養います。具体的には企業の財務諸表などの数字にその企業のポリシーやビジョンがどうあらわれているのかを紐解くといったことです。自分の主観のみで判断するのではなく、数字から読み取れる事実や集めた情報を論理性に基づいて客観的判断につなげる、言い換えれば異なる観点から論理を組み立てるという思考力のトレーニングです。様々な価値観に基づく論理の構築ができて初めて、説得力あるプレゼンテーションが可能になるということも実感させます。この主観を集めて客観性を導きだす手法は、ビジネスにおける論理的思考につながり、大学時代に最も身につけてほしい力だと考えています。 これを補完するものとして、3年次の夏休み前に「フレームワーク」のワークショップを行っています。ここで用いるワークシートはすべて本学HPに掲載していますが、徹底的に「Why」を繰り返す思考のトレーニングを意識づけています。また後期には、論理的な思考を身につける「ディスカッション」のワークショップを行っています。
優良企業の人事担当者・OB・OGを招いた学内での説明会を実施。その数は年間延べ800を超える社数です。学生一人あたりの社数では他大学に類を見ない大規模な取り組みです。その最大の狙いは、ビジネス思考の実践です。できるだけ多くの企業のブースを訪れ、今まで学んできた論理的・客観的ビジネス思考に基づいて、様々な業界の方向性やそれぞれの企業の期待する人物像をレポーティングします。そうして得た情報を学生たちの間で共有するというアウトプットを前提にしていますので、学生たちの「リサーチ活動」にも熱が入ります。 企業における目標管理制度は、企業が求める期待像と個人の目標像との方向づけが不可欠ですが、学生たちは、この企業セミナーの場で企業の求める能力や考え方を知り、自分はこれからどうしたいのかとのすりあわせを体験することになります。そして、今の自分と将来企業にいる・働いている自分(理想)とのズレとギャップをどう埋めていくのかを考え、具体的に何をすべきなのかという課題・目標を明確に持つようになっていきます。就職活動の準備時期にはもちろんのこと、低学年次から参加することが可能で、自身のキャリアプランを考える上で非常に有効な勉強の機会です。また、本学では学業優先の観点から、半日開催とし、講義の合間や休み時間に参加できるよう工夫を行っています。
就職指導はもちろんのこと、1年次からの進路指導まで、民間企業や他大学での職務経験の豊富なスタッフによる個別の進路指導を行っています。本人の特性や希望に応じた高いレベルの進路・就職指導を徹底しています。また、各学部・研究科の事務室にも就職担当が配置されており、学生支援課の就職担当と連携して進路支援を行っています。2008年度は年間延べ1417名、月平均約120名の個別学生指導を行っています。
主な個別指導内容の例:
将来の方向性に関する指導、社会情勢や雇用情勢に関する指導、難関資格に関する指導、マネジメントに関する指導、企業分析の手法指導、業界研究・職種研究の指導、自己分析指導、公務員や教員に関する指導、インターシップに関する指導、履歴書・エントリーシートの指導、面接指導、ディスカッション指導、お礼状やお詫び文などの文章指導、筆記試験指導、Uターン就職指導、等。
2008年1月から2月に200社強の企業・団体に実施したアンケートにおいて、本学の就職支援に対する評価は、「評価できる」が69.0%、「ある程度評価できる」が23.5%、5段階評価で平均4.6の評価を得ています。このアンケートの自由記述欄では次のようなコメントを頂きました。
また、ある大手企業の人事担当者からは、「今年(2009年度)の西日本での内定者は大阪市大が最も多かった。大学名不問の採用活動でこのような結果につながったのは、学生の意識レベルの高さであろう。特に地に足をしっかりつけている学生が多いという印象を受けている」との評価を頂きました。
本学では、このような評価を受け止めつつも、これに甘んじることなく常に社会情勢、雇用情勢の把握・分析に基づいた支援を企画・検討しています。
如何なる社会情勢の下でも、問題の本質を見据え、解決に導いていくためには、その原因を「自責化」する思考と「論理化」する能力が不可欠です。本来、大学の教育の中で習得すべきこれらの能力を、社会での実践力につなげていくことが、本学が標榜する就職支援の方針です。
就職担当課長 大島 禎