公立大学法人大阪市立大学
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教育・学生生活

交換留学レポート9月号(ドイツ ハンブルク大学)

文学研究科 後期博士課程 木戸紗織

今年の日本は例年になく暑いそうですが、こちらハンブルクはやや涼しい毎日です。7月初旬は非常に暑く大阪より気温の高い日すらあったのですが、それも2週間ほどで終わり、8月はずっと上着の手放せない日が続きました。そんな肌寒い8月ですが、夏休み中のハンブルクでは夏を楽しむための様々なイベントが行われています。その様子を、写真と共にご紹介しましょう。

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シュトゥットガルト・ワイン祭り

まず、一枚目の写真は、市庁舎前で開かれたStuttgarter Weindorfの様子です。これはドイツの南西部にある街シュトゥットガルトのワイン農家による期間限定のイベントで、農家自慢の自家製ワインを名物料理とともに楽しむことができます。森林地帯にあるシュトゥットガルトの料理は港町ハンブルクのものと違ってキノコや肉類が多く、もちろん地元産のワインによく合います。店員さんの伝統的な衣装やシュヴァーベン地方の方言を聞いていると、ハンブルクに居ながらにして小旅行をしたような気分になりました。

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ノイエン・ガンメ強制収容所

二つ目の写真は、ハンブルク近郊のノイエン・ガンメ強制収容所跡です。ここは第二次世界大戦中おもに政治犯の収容所として使用され、終戦直後にはイギリス軍がドイツ人捕虜を収容していました。市や市民の間で激しい議論が行われた末、今は記念館として保存・公開されています。当時の建物はほとんど残されていませんが、取り壊した際のがれきで建物のあった位置が示され、広大な敷地のそこここに四ヶ国語で記された説明板が設置されています。また、二棟ある展示室では、当時の設備や寝具、収容者の様子を写した写真から、歴史を学ぶための場として跡地の保存を訴える市民運動まで、戦中・戦後の収容所の歴史を知ることができます。市内から電車とバスを乗り継いで一時間ほどかかる上に、他の強制収容所ほど知られているわけではないのですが、国外から来た人も見受けられました。数十年前にそれぞれの建物で何が行われたのか考えながら、私も一つ一つ説明を読んで歩きました。直接的な展示はありませんでしたが、ドイツ言語学を学ぶ上でも、また日本人としても、考えさせられる内容でした。

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ヌートリアの池の上で

三つ目の写真は、元留学生一家と一緒にWildparkへ行った際撮ったものです。ここは一見動物園のようですが、ゾウやキリンがいない代わりにオオカミやクマが森の中で暮らし、ブタやクジャクが放し飼いにされているのが特徴です。ヤギや牛、シカには直接餌をやることもできます。ハンブルクから近く、また夏休みということもあって、当日は非常に多くの家族連れでにぎわっていました。院生である以上、私もそれなりにドイツ語ができるつもりだったのですが、動物に関しては一緒に行った小学生の男の子の方がはるかに語彙が豊富で、この日は20歳近く年下の先生からたくさんのドイツ語を教わりました。

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移動遊園地

最後にもう一つ。夏のハンブルクを語る上で忘れてならないのが、移動遊園地Hamburger Domです。移動式とは言ってもジェットコースターや観覧車など一通りの乗り物があり、焼きアーモンドやバーガーを売るスタンドもそろっていて、常設の遊園地に引けを取りません。ハンブルクっ子は、年に三回それぞれ一ヵ月間だけ開催される期間限定のこの遊園地を楽しみにしていて、子供から大人まで大勢の人が訪れます。遊園地と言うとカップルや家族連れで行くイメージが強いかもしれませんが、ここでは老夫婦や仕事仲間のグループも少なくありません。緯度の高いドイツでは、この時期10時ごろにようやく日が暮れること、その一方で秋の訪れが早いことから、夏を楽しむという気持ちが人一倍強いようです。ですから、この夏の風物詩は、短い夏の長い夜に欠かせない存在なのです。