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教育・学生生活

語学研修レポート(フランス セルジー・ポントワーズ大学)

文学部フランス言語文化コース2回生 宮田 渚

私は2010年度のフランス語短期語学研修に参加してきました。日程は大学の夏休みを利用して、9月13日~29日と約2週間の短い滞在でしたが、一生ものの思い出ができた、すばらしい研修になりました。

長時間のフライトを経て、フランスに着いた初日。少し肌寒く、空は薄曇りでした。まずみんなで向かった先がパリ郊外のセルジーにあるホテル。毎朝、私たちはこのホテルから大学へ通学することになりました。ちなみにここのホテルはそれぞれの個室にキッチンがついています。放課後はフランスの学生とディナーに行くことが多かったのですが、日によってはスーパーマーケットで食材を買ってきて、ホテルで自炊することもありました。ある晩にはホテルの従業員さんもまじえて、ワインとチーズを持ち寄ってパーティーをしたり。さすがはフランスの特産品、ワインとチーズは非常に種類に富んでいます。それから利用したスーパーマーケットですが、大学近くにとても大きなショッピングモールがあります。比較的安価なので、雑誌から日用品まで、けっこういろいろ購入していました。物価は、パリに行くと値段が1.5倍くらい高くなったりします。それから日本と違い、フランスのお店は閉店時間が早く、さらにコンビニが存在しないため、買い物の時間の確保に少し苦労した記憶があります。日曜日は閉まっている店も多いです。

研修中は、セルジー・ポントワーズ大学というパリ郊外の大学に通っていました。午前中はフランス人の講師とフランス語の勉強です。習ったのは簡単な文法、あいさつ、文化など。現地の生きたフランス語を学べたので、とてもよかったです。授業にはアシスタントとしてフランス人の学生も数名参加してくれました。彼らは大学で日本語を学んでおり、日本人の私たちと会話することにとても意欲的です。わからない文章や単語があっても、こちらが理解するまで親身になって教えてくれました。午後は、さらに何人かの学生たちを加えてみんなでパリに観光に行きました。訪問先はオペラ・ガルニエや「アメリ」で有名なモンマルトル、リュクサンブール公園、凱旋門、エッフェル塔など。パリの有名どころは軒並み行った気がします。休日にはフランス人の学生が、ルーブル美術館に連れて行ってくれました。この美術館は途方もなく巨大で、一日だけではとても回りきれません。私はフランス人の友人の助けもあり、なんとかモナリザを目の前で見ることができましたが、美術館があまりに広すぎてお互いを見失うというハプニングもありました。パリは観光街ということもあり、街道は通行人でごったがえしています。「パリでは速足で歩かなきゃ!」って、何度か注意されました。どうも、日本人の学生はややのんびりしていたみたいです。パリまでの交通には「navigo」という、関西でいうICOCAみたいなパスを持っていたので、あちこち行きましたが交通費はかかりませんでした。

現地では大学生のほか、高校生との交流もありました。日本語教室が開かれている高校を訪れ、そこで日本の伝統的な歌を紹介しました。高校生は、とにかくみんな元気いっぱいです。何しろ向こうの若者は日本の漫画やテレビドラマが大好きだから、日本人が来る!ということだけで大喜び。ワンピースのキャラクターやピカチュウなどをノートに描いてあげたら、高校生たちは興奮してきゃあきゃあ騒いでいました。ワンピースに、ドラゴンボールに、ナルトに、フランスの若者で知らない人はいないかも。道明寺とか水嶋ヒロの名前を、あちらで耳にするとは思いもしませんでした。みんな口をそろえて「日本に行ってみたい!」と言ってくれたので嬉しかったです。それから、最後の週末にはフランス人の女の子の家でホームステイをしました。宿泊先のお母さんが非常にキュートな人で、私に「日本語で愛してるはなんて言うの?」と尋ね、それ以降娘2人に「愛してる」を連呼したり、「どこでも女はおしゃべりよね!」などと言ってみんなで笑いました。家族みんなで、本当に親切にしてくださり、向こうも私を出迎えられて幸せだと言ってくれました。別れるときはとても辛かったです。

午前中に授業を受けて、午後にパリへ出かけ、帰ったらホテルで宿題をする……という毎日で、スケジュールは非常にハードです。とにかく暇がありませんでした。研修終盤、日本人の学生の中には少し疲れてしまった人もいました。けれどもだんだんと日が経つにつれて、自分がしゃべるフランス語が上達し、相手に着実に伝わるようになっているのを実感しました。フランスの学生たちとの会話も、初めは単語の羅列でしたが、一週間もすると普通に文章を作って話していました。フランス人は他人同士、気兼ねなく会話する気質をもっているので、道がわからないときは通行人に聞きました。見ず知らずの人とおしゃべりすることも、勉強のひとつになります。何しろ相手のフランス語はめちゃくちゃ速いですから……

研修を通して、フランスで出会った人々と、とても親密になることができて嬉しかったです。語学力をまじめに鍛えたい方には、ぜひとも研修なり留学なり、その言語をしゃべっている国へ行くことをおすすめします。私も2週間という短い滞在期間の中で、自分でも驚くほど語学力を伸ばすことができました。同時に、日本では知ることのなかったフランスの文化や社会事情にも触れることができました。もっとも交流を深めたフランスの学生たちは、私たち日本人とは似ているようで似てない大学生活を送っています。勉強が忙しすぎてバイトできないのだとか。彼らは本当に個性豊かで魅力的で、なにより真面目です。「漢字が好きで、だから日本語を勉強している。うまくなりたい」と言って、熱心に漢字をノートに書き留めているフランスの学生には感心しました。「僕はあなたにフランス語でしゃべる。あなたは僕に日本語で返す。お互い先生」と言っていた男の子もいました。ただフランス語を学ぶだけではなく、こういう形で、私たち日本人も向こうの学生の役に立つことができて嬉しかったです。出会った人々との関係はネットを通して今も続いています。全体を通して多忙でしたが、夢のような短期語学研修でした。機会があればぜひもう一度海外へ勉強しに行きたいと考えています。