公立大学法人大阪市立大学
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教育・学生生活

2014年交換留学レポート (ロシア サンクト・ペテルブルク大学)

短期語学研修参加学生(2回生)

2014年9月、私はロシアのサンクトペテルブルグ短期交換研修に参加しました。
 ロシアは、暗くて寒い国。眉間にシワを寄せたキツそうなおばさんや、やたらとゴツくて怖いおっさんばかりで、全然仲良くなれそうにありません。ごはんは、すっぱい黒パンとうすいスープが主食、肉や魚は高級食材、スイーツなんてとんでもない。町中に外国人は殆どおらず、たまに見かけるのはあやしげな商人くらい。当然ながら英語は通じません。娯楽の類はなく、ウォッカとタバコが唯一の楽しみ。
 …というのが私のロシアのイメージでした。みなさんも、これに近い想像をしているのではないでしょうか。

(Moscow State University / Московский государственный университет имени М.В. Ломоносова) 
モスクワ大学 (Moscow State University / Московский государственный университет имени М.В. Ломоносова)

クロンシュタット(コトリン島)
クロンシュタット(コトリン島)
Kronstadt Naval Cathedral (海の大聖堂 / Морской Никольский собор )

 実際に訪れてみると、想像が裏切られました。メッタ斬りです。街はヨーロッパそのもの(少しボロかったりするけど、それがまた雰囲気があって良い)だし、バレエダンサーかモデルのようなロシア美女がそこら中を闊歩しているし、ごはんはめちゃめちゃ美味しい、絶品。ウォッカもやはり人気がありますが、娯楽といえばオペラやバレエでなんとも優雅。やはり、行ってみないとわからないものですね。
 上に挙げた私個人のイメージは極端かもしれませんが、日本人からするとロシアはとても遠い国のように思えますよね。ロシアがいったいどんな国かわからないけど、なんとなく怖いから行ってみる気もない…。それは、すごく勿体無いなと思います。知り合ったロシア人の学生たちは、私が日本人だと言うと、喜んでいろんな質問をしてきます。「アニメ最高!!毎週ネットで見てるよ!」「ニホンの音楽はクールね、モスクワでコンサートがあったから行ったわ」なんていう日本のサブカルへの礼賛から、「ニホンジンの何%がニンジャなの?」なんていう滅茶苦茶な質問まで…。彼らは未知の国ニッポンについて知りたいという気持ちで、どんどん話しかけてくれました。いくら遠くても、相手のことを知ろうと思えば近づけるのだと僕は思います。

 上で挙げたイメージのうち、ひとつだけ当たっていたのは、英語が通じないということ。ロシアで二番目に優秀だとされるサンクトペテルブルグ大学の学生であっても、英語が喋れない人ばかりです。日本語が出来る学生はいましたが、そうでなければ否応なしにロシア語でコミュニケーションを取るしかありません。私は決してロシア語が堪能というわけではなかったので、苦労しました。しかし、3週間をすぎるころには、なんとなくですが相手の言うことがわかるようになってきます。不思議なものです。
 放課後に、様々な文化施設を訪れるのが毎日の楽しみでした。市大からサンクトペテルブルグ大学に派遣されているため、現地ではサンクトペテルブルグ大学の学生という肩書をゲットすることができます。したがって、世界三大美術館の一であるエルミタージュ美術館や、かの有名なマリインスキイ劇場等の施設には、ロシア人学生価格で入場することが出来るのです。これはたいへんお得でした。半額や、ときには無料(!)で、あらゆる施設に入れてしまうのです。サンクトペテルブルグ大学の学生証のおかげでエルミタージュ美術館には4,5回行きました。最高です。

 スモーリヌイ修道院
スモーリヌイ修道院 (Smolny Convent / Смольный монастырь) 

 行く前は、挨拶が出来る程度でしかありませんでしたが、いざ行ってみると英語すら通じない、ロシア語のみの生活です。遊んでくれる友達もみなロシア語で話します。レストランに行っても、スーパーに行っても、表記はすべてロシア語。一日中寮に篭ってるなら別ですが、外へ出て行きたいのならロシア語を駆使するしかありませんし、学校ではみっちりロシア語についてのみ学びます。こんな生活を数日続けていれば、すぐにロシア語には慣れてきます。この上達の速さは、やはり語学研修ならではです。
 漠然と『海外へ行きたい』と願う学生は少なくありません。それが、就職活動のネタづくりのためなのか、単に外国で遊びたいのか、真剣に外国語を勉強したいのか、それとも現実逃避か。なんだって構いません。行動を起こした者だけが、経験することが出来るのだと思います。私は留学信者ではありませんので、絶対海外に行け!とは言いません。しかし、個人的には、ロシアでの生活という貴重な経験が出来て、本当によかったと思っています。毎日がエキサイティングで、充実していました。日本ではありえないような出来事も、数えきれないくらい経験しました。この一ヶ月は、自身の考え方に深い影響を与えるものになりました。おそらく一生、この日々のことは忘れないでしょう。

最後に、仲良くしてくれたロシア人の友達、語学学校で共に学んだ各国からの優秀な留学生達、親切に道を教えてくれた町の人々、金銭面や制度面で多大なる支援をしてくださった大阪市立大学、そして、ロシアに行くことを決意した1年前の自分自身に、大きな感謝を送りたいと思います。みんな、どうもありがとう。最高の夏休みでした。

イサク大聖堂
イサク大聖堂 (St. Isaac's Cathedral / исаакиевский собор)
展望台からの眺め
中央に見える歪な建物は Church of the Savior on Blood (Храм Спаса на Крови / 血の上の救世主教会 / スパースナクラヴィ)