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新しい奥行き知覚方法の発見―理学研究科 寺北教授らの研究成果がサイエンス誌に掲載

2012年01月27日掲載

研究・産学

本学理学研究科の寺北明久教授、小柳光正准教授、永田崇博士研究員らのグループは、ハエトリグモが獲物をジャンプして捕らえる際に、正確な距離を測定する視覚のメカニズムの謎を解明しました。対象物までの正確かつ迅速な距離測定に役立つことから、このメカニズムをロボット工学に応用することも可能だと考えられます。本研究の成果は、1月27日発行の米科学誌「Science」に掲載されました。

発表雑誌

発表雑誌:Science
論文名:Depth perception from image defocus in a jumping spider
(ハエトリグモにおけるピンぼけ像に基づく奥行き知覚)
著者:Takashi Nagata, Mitsumasa Koyanagi, Hisao Tsukamoto, Shinjiro Saeki, Kunio Isono, Yoshinori Shichida, Fumio Tokunaga, Michiyo Kinoshita, Kentaro Arikawa, Akihisa Terakita

概要

対象物までの距離を知覚すること(奥行き知覚)は、形や色を見る色覚や形態視に加えて、視覚において最も重要な機能の1つです。片方の目を覆ってキャッチボールをすると、うまくボールを取れないことからわかるように、ヒトでは、左右の目でのわずかな見え方の違いから、対象物までの距離を測定しています。本研究の対象としたハエトリグモは、昆虫の複眼よりもヒトの目に似たカメラ眼を持っていて(図1)、巣を作らずにジャンプして獲物(ハエなど)を捕らえます。その際、正確に距離を測定していることは古くから良く知られていましたが、その距離測定(奥行き知覚)のメカニズムは全くの謎でした。寺北教授らのグループは、ハエトリグモの光をキャッチするタンパク質、網膜細胞の性質、行動を解析して、目の中で「ピンぼけ像」を検出して、ピンぼけの大きさから対象物までの距離を測定していることを発見しました(図2)。

期待される効果

この“ピンぼけ視覚”は、初めて明らかになった視覚メカニズムであり、対象物までの正確かつ迅速な距離測定に役立つことから、このメカニズムをロボット工学に応用することも可能だと考えられます。

図1 ハエトリグモ 中央の大きな2つの目(矢印)を使って距離測定を行います。
図1 ハエトリグモ 中央の大きな2つの目(矢印)を使って距離測定を行います。

図2 ハエトリグモの目でのピンぼけ検出と距離測定
図2 ハエトリグモの目でのピンぼけ検出と距離測定 ハエトリグモの目にはピンぼけ像の大きさを検出する層があります。一般に、レンズに近い対象物ほど遠くに結像しますので、遠くの対象物のピンぼけの大きさは小さく(オレンジ色の両矢印)、近くの対象物ほど大きなピンぼけが生じます(青色の両矢印)。このピンぼけの大きさに基づいて、対象物までの距離(オレンジ色(遠くの対象物)と青色の片矢印(近くの対象物))を測っていることが明らかになりました。