公立大学法人大阪市立大学
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「都市部の子どもの身体活動量および生活習慣」 の調査を開始します

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研究の概要

 都市健康・スポーツ研究センターの岡﨑 和伸(おかざき かずのぶ)准教授らのグループは、大阪市立咲くやこの花中学校・高等学校の生徒を対象として、都市部における子どもの身体機能や体力の良好な発育・発達のためにどれ位の身体活動量が必要か、また、その身体活動量を確保するためにどの様な生活習慣が有効か、について明らかにする研究を開始しました。この年代を対象として、身体活動量を調査し体力や生活習慣との関連を明らかにした研究は少なく、縦断的に追跡調査する研究は日本で初めてです。

研究の背景

(1)大阪府の子どもの体力低下が著しい

 文部科学省の「体力・運動能力調査」によると、子どもの体力は、昭和60年ごろから現在まで低下が続いています。その中でも大阪府の児童・生徒の体力は、都道府県順位で男女とも各年齢で40位を下回っています。

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Ⅰ.長期的に見た運動能力の推移(高校2年生)


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Ⅱ.体力テスト合計点の都道府県順位(中学2年生)
※上記Ⅰ、Ⅱのデータは文部科学省 全国体力運動能力、運動習慣等調査より引用

(2)発育・発達期の子どもの身体活動量が少ない

 子どもの体力低下の原因は、日常生活における身体活動量の減少にあり、子どもを取り巻く生活環境や生活様式の変化、あるいは、学習活動の増加による身体活動の機会の減少などが主に関与することが指摘されています。特に、中学生から高校生期は、身体機能や体力の著しい発育・発達期にあり、十分な身体活動量が確保されるべき年代です。一方で、身体活動量は小学生期から中学生~高校生期において減少しています。この問題は、20歳前後にピークを迎える身体機能や体力の良好な発育・発達を妨げることとなり、成年~中高年期におけるメタボリック・シンドロームやロコモティブ・シンドロームの早期発症をもたらすことが懸念されています。

(3)発育・発達期の子どもを対象とした研究が必要

 この年代での生活・運動習慣は、成人期以降の生活・運動習慣および体力を左右することが指摘されています。しかしながら、この年代を対象として実際の身体活動量を調査し、体力や生活習慣との関連を明らかにした研究は少なく、「子どもの身体機能や体力の良好な発育・発達のためにどれくらいの身体活動量が必要か?」あるいは「その身体活動量を確保するためにどのような生活習慣が有効か?」という教育現場で実際に必要とされる情報が得られていません。今回の調査では、日本で初めて中学生~高校生期にわたる縦断的な追跡調査を実施し、これらを明らかにしていきます。

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        身体活動量の測定の様子              自律神経活動の測定の様子

研究の方法

 大阪市立咲くやこの花中学校・高等学校の生徒160名を対象として、身体組成(脂肪量や筋肉量)の測定、体力の測定、生活環境や習慣に関する質問紙調査に加えて、身体活動量(3軸の加速度計を用いた計測)と日常生活活動(記録調査)を1週間にわたって記録します。来年度以降、同一の対象者に対する縦断的な追跡調査を実施し、さらに、毎年度に同数を対象とした調査を追加していきます。

今後の取り組み

 本研究は、「大阪市立大学 都市健康・スポーツ研究センター」と「咲くやこの花中学校・高等学校」が本年度から開始した中高大連携事業の一環として実施します。本研究の成果は、今後、中高生の生活指導や体育関連科目におけるカリキュラム精査に役立つことが期待されます。また、教育現場だけでなく、学術発表や中高生の生徒・保護者・教職員を対象とした講演会などにも活用し、皆さまに広く還元していきます。

 

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