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「新生児低酸素性虚血性脳症に対する自己臍帯血幹細胞治療」の国内第一例男児が元気に退院

プレスリリースはこちら

この研究は下記のメディアで紹介されました。 <(夕)は夕刊 ※はWeb版>
◆5/29 NHK「ニュースほっと関西、関西845」
※その他、Web等掲載 

 医学研究科 発達小児医学分野の新宅 治夫(しんたく はるお)教授を代表とするグループが取り組んでいる新生児低酸素性虚血性脳症への自己臍帯血幹細胞治療について、国内第一例の臨床治療が平成27年4月29日に倉敷中央病院で行われました。経過が順調なことを受けて、患児は昨日(平成27年5月28日)無事退院しました。
 この「新生児低酸素性虚血性脳症」は、現在のところ根本的な治療法はなく、場合によっては死亡や脳性麻痺につながるケースが多いとされています。今回の治療結果を受け、また、今後さまざまな事例を積み重ねることで、治療法・予防法の確立が期待されます。

治療の説明

 重症仮死の主因である周産期の低酸素性虚血性脳症(HIE)は、出生時の脳への血流遮断により脳神経細胞が低酸素と低血糖に陥ることにより生じる病態で、脳神経細胞がグルタミン酸の蓄積から、細胞内カルシウム上昇をきたし、最終的に不可逆的な障害が生じます。周産期のHIEは脳性麻痺の主たる原因であり、重症のHIEは、出生1,000人に対し1~6人の割合で生じ、低体温療法などの有効な治療法を行った場合でも半数は重篤な後遺症を生じます。いったん脳障害が完成し脳性麻痺の病態を呈すると、現在の科学において有効な治療法はなく完成する前の新生児期の治療が肝要です。
 そこで免疫拒絶反応の少ない自己臍帯血幹細胞を採取し、遠心分離によりCD34陽性の造血幹細胞を分離し、生後3日間のうちに3回(24時間後、48時間後、72時間後)に分けて直接新生児に点滴投与することで脳性麻痺の予防を図るという治療を行いました。

今後の展開について

 新生児低酸素性虚血性脳症とは、いわゆる重症新生児仮死のことで、将来、児は脳性麻痺に陥ることが予想されます。脳性麻痺になると病状が何十年もの長期にわたり、ご家族の経済的負担や施設利用など社会的な負担も大きいため、脳性麻痺に対する予防法・治療法が確立され、脳性麻痺の予防を図る治療を行うことで、そうした負担が軽減されることが期待されています。
 今後は、平成26年度安全性第Ⅰ相試験の最初の数例について安全性を確認し、同時に前臨床試験を継続し効果のメカニズムについて解析を行います。その後、平成27年度中に第Ⅰ相試験の登録症例が6例に達した時点で改めて安全性を検証します。安全性が確認されれば登録症例を拡大し、登録症例は効果判定のためのフォローアップを継続します。平成28年度には第Ⅰ相試験登録症例の18ヶ月時点での効果について検証を行い、次の第Ⅱ相試験に向けての準備を行う予定です。

研究発表の詳しい資料はこちらから