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ヒト肺炎病原菌 感染器官の3D構造を解明

プレスリリースはこちら

概 要

 理学研究科 宮田 真人(みやた まこと)教授らの研究チームは、大阪大学大学院 生命機能研究科の難波 啓一(なんば けいいち)教授らの研究チームと共同で、ヒトに肺炎を発症させる細菌「マイコプラズマ・ニューモニエ」が、ヒトに感染するために接着と滑走を行うための装置である“接着器官”の三次元構造を、世界で初めてナノメートルレベルまで明らかにしました。
 本内容は2016年4月12日(米国東部時間)に、米国の微生物学専門オンライン誌であるmBioに掲載されました。(詳しい掲載情報は文末をご参照ください)

 なお本発表は、2015年12月4日解禁にて本学よりプレスリリースしました「ヒト肺炎病原菌の感染機関の構造を解明」(以下、「前回発表」と表記)の続篇にあたる内容です。研究背景や期待される効果については前回資料をご参照ください。

今回の発見

 マイコプラズマは、菌体の片側に小さな突起“接着器官”を形成し、この突起で宿主組織の表面にはりつき、はりついたままに動く“滑走運動”を行います。この接着器官について、前回発表では器官を構成しているタンパク質の存在およびその位置をつきとめましたが、今回、大阪大学との共同研究で電子線クライオトモグラフィーという方法を用いることで、ナノメートルレベルの三次元像を得ることに成功しました。

研究の内容

 本研究では、菌体を凍結し、凍結したままの滑走装置の電子顕微鏡像を数百の異なった角度から撮影しました.それらの像からCTスキャンと同じ方法で元の構造を再構築しました(右図)。 本手法により、はじめて滑走装置の三次元像がナノメートルレベルで示され、図のピンク色で示した突起が格子状に並んでいること、青色で示した部分が蜂の巣のような硬い構造であること、黄色で示した部分が蛇腹のような伸び縮み可能な構造であることが明らかになりました。さらに本研究では、ピンク色で示した突起が滑走の“あし”として働くP1 アドヘジンというタンパク質であることをつきとめました。そして、前回発表と今回の研究で得た結果を合わせて考えることで、滑走運動メカニズムの解明にさらに踏み込むことに成功しました。

今後の展開について

 単離した構成タンパク質を電子顕微鏡や結晶化を用いて解析することで、接着器官の構造を高解像度に明らかにします。それと並行して、蛍光標識したタンパク質の動きや接着器官の構造変化を調べることで、どの部分が動いて滑走運動が起こっているかを調べます。滑走と接着に必須のタンパク質の構造は、マイコプラズマ感染症の対策のための重要な情報となるでしょう。

補足

■電子線クライオトモグラフィー
 無染色、無固定の分子を液体窒素などで瞬時に凍らせ、透過型の電子顕微鏡で多方面から撮影を行い、その三次元構造を再構築する手法。病院で撮影されるCTと同じような原理で、凍った試料を傾けて撮影を行う。近年、カメラ技術の進歩等が進み、ナノメートルレベルでの高い分解能が実現できるようになっている。

参考

■動画
  https://www.youtube.com/watch?v=bjsKderHU5E 
 (マイコプラズマ・ニューモニエの滑走の様子)

掲載情報

【雑誌名】
 mBio
【論文名】
 Periodicity in attachment organelle revealed by electron cryotomography suggests conformational changes in gliding mechanism of Mycoplasma pneumoniae
【著 者】
 Akihiro Kawamoto, Lisa Matsuo, Takayuki Kato, Hiroki Yamamoto,
 Keiichi Namba, Makoto Miyata
【掲載URL】
 http://mbio.asm.org/content/7/2/e00243-16

共同研究、資金等

本研究は、下記の計画研究の一部として行われました。

  • 科研費・新学術領域「運動超分子マシナリーが織りなす調和と多様性」
    (領域代表:宮田)
    http://bunshi5.bio.nagoya-u.ac.jp/~mycmobile/index.php
  • 科研費・特別推進研究「クライオ電子顕微鏡による生体分子モーターの立体構造と機能の解明」(研究代表:難波啓一,大阪大学教授)