公立大学法人大阪市立大学
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研究・産学官連携

人工光合成によるSolar Fuels(太陽光燃料)生成の実現

研究成果の概要

化石燃料依存型生産モデルに見られるエネルギー生産の一方向性から完全に脱却し,物質生産サイクルによる持続的エネルギー生産モデルを構築と,その実現を具体化する方策を提案することを目的として,光合成生産能が極めて高く大量培養が可能な,海洋藻類ならびに光合成細菌による「光合成」に注目し,「エネルギーの継続的保持(昼夜の区別なく安定電力供給できる体制整備)と地球環境悪化の原因物質を排出しない持続的な新陳代謝」を行なう光合成エネルギー生産デバイス(太陽電池,ソーラー水素,メタノール生成機構)の開発を目指して研究を展開した。その実現のために,1)光合成膜での光エネルギー変換機能をもつ光合成色素タンパク質複合体の構造と機能を明らかにする基礎研究,2)ナノバイオテクノロジーによる人工光合成タンパク質の作成,3)ポリオキソ酸(POM)による光合成タンパク質-POM超分子複合体の安定化を達成させ,それらを組織化・パターン化した光合成タンパク質結合型デバイス基板の開発,4)水を完全分解することによるバイオ水素発生系の創出と光合成アンテナ−反応中心系との融合,5)CO2を固定しメタノールを生成する触媒系の創出と光合成アンテナ−反応中心系との融合,6)人工光合成研究センターを介した産学連携の加速を実現した。また,研究の各年度において,国際シンポジウムを開催し,国内外の著名研究者との情報交換・共有と研究成果の外部発信を行った。

 

 

第三者評価

評価1

本研究は太陽エネルギーの化学エネルギーへの返還を目指すものである。光合成生産能が極めて高く、大量培養が可能な海洋藻類による光合成に注目し、バイオによる水素生産ならびにメタノール生産を目指したもので、時宜を得た極めて重要度の高いテーマと言える。研究の達成には5年間が必要とされるが、本研究期間の2年間では基盤研究として、十分な成果を上げており、申請目標を達成しているといえる。また、研究成果は国際会議等で発表されており、内外への発信も十分行われている。今後は人工光合成センターなどを介した産学連携により、5年間の研究目標を達成してほしい。


評価2

本課題は、21世紀における最重要課題の一つと言える再生可能エネルギ-の有効利用に関する研究として、太陽光燃料生成の実現に果敢に取り組んでいる。課題解決のために、天然の光合成系の構造や機能の精密研究から、現実系への応用に向けての太陽光燃料の生成システム研究にわたって、生物、化学、物理、環境などの幅広い分野の研究者が参画した分野融合型の連携体制で研究に取り組んでおり、この点は高く評価される。特に、海洋藻類や光合成細菌の天然の「光合成」を有効に利用して「人工光合成」を達成しようとする戦略は、現実系として注目される。現時点では5年計画の2年目として、各グループにおける研究が着実に進展したと評価できる。今後、計画の後半として、この研究チームの連携の成果が具体化し、光合成材料を用いた高効率ソーラー燃料発生システムの完成という目的が達成されることを期待する。