○大阪市立大学動物実験管理規程/The Regulations on Animal Experiments in Osaka City University

平成19年3月23日

規程第18号

前文

動物実験により、地球上の生物の生命活動を科学的に理解することは、人類の福祉、環境の保全と再生などの多くの問題の解決にとって、極めて重要であり、また、生命科学の教育研究においても計り知れない大きな役割を果たしている。動物実験は、そのために必要な、やむを得ない手段であるが、動物愛護の観点から、適正に行わなければならない。

以上の趣旨を鑑み、大阪市立大学(以下「本学」という。)において動物実験を計画し、実施する場合、動物の愛護及び管理に関する法律(平成17年6月22日法律第68号。以下「動物愛護法」という。)並びに「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」(平成18年環境省告示第88号。以下「飼養保管基準」という。)、「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」(平成18年文部科学省告示第71号)及び「動物の処分方法に関する指針」(平成7年総理府告示第40号)等を踏まえ、また、日本学術会議が作成した「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン」等(以下「ガイドライン等」という。)を参考にすることにより、動物実験の3R(Replacement(科学上の利用の目的を達することができる範囲において、できる限り動物を供する方法に代わり得るものを利用することをいう。),Reduction(科学上の利用の目的を達することができる範囲において、できる限りその利用に供される動物の数を少なくすることをいう。),Refinement(その利用に必要な限度において、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によってしなければならないことをいう。))の理念に基づき実施するため、この規程を定める。

第1章 総則

(目的)

第1条 この規程は、本学における動物実験の実施に当たり遵守すべき具体的事項を定め、科学的観点、動物福祉の観点、環境保全の観点及び実験等に携わる教職員、学生等の安全確保の観点から、適正な動物実験の実施を図ることを目的とする。

(用語の定義)

第2条 この規程において、次に掲げる用語の定義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 動物実験等 動物を教育、試験研究又は生物学的製剤の製造の用、その他の科学上の利用に供することをいう。

(2) 事業場 大学教職員が勤務する職場をいう。

(3) 飼養保管施設 実験動物を恒常的に飼養若しくは保管し又は動物実験等を行う施設をいう。

(4) 動物実験室 飼養保管施設以外で、一時的に実験動物に実験処置を加え又は生理機能等を解析する室をいう。

(5) 施設等 飼養保管施設及び動物実験室並びにそれらに付随する設備をいう。

(6) 実験動物 動物実験等の利用に供する哺乳類、鳥類及びは虫類に属する動物をいう。

(7) 動物実験計画 動物実験等を行うために事前に立案する計画をいう。

(8) 動物実験実施者 動物実験等を実施する者をいう。

(9) 動物実験責任者 動物実験実施者のうち、個々の動物実験計画に係る業務を統括する者をいう。

(10) 管理者 学長のもとで、実験動物及び施設等を管理する動物実験施設長、部局長等をいう。

(11) 実験動物管理者 管理者を補佐し、実験動物の管理を担当する者をいう。

(12) 飼養者 実験動物管理者又は動物実験実施者の下で、実験動物の飼養又は保管に従事する者 をいう。

(13) 管理者等 学長、管理者、実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者をいう。

(14) 指針等 動物実験等に関する告示等及びガイドライン等をいう。

(15) 規程等 各研究機関等が関連法令及び指針等の趣旨をもとに、動物実験等の適正な遂行と実験 動物の適正な飼養及び保管のために定める機関内規程をいう。

(適用の範囲)

第3条 この規程は、本学で行われる哺乳類、鳥類及びは虫類の生体を用いる全ての動物実験に適用する。

第4条 哺乳類、鳥類又はは虫類以外の動物を用いる場合もこの規程に準拠するものとする。

第5条 動物実験等を別の機関に委託等をする場合は、委託先においても、指針等に基づき、適正に動物実験等が実施されることを確認するものとする。

第2章 動物実験委員会

(動物実験委員会)

第6条 この規程を適正に運用するため、本学の次に掲げる事業場ごとに各号に定める動物実験委員会(以下「委員会」という。)を設置する。

(1) 杉本地区事業場 杉本地区動物実験委員会

(2) 阿倍野地区事業場 阿倍野地区動物実験委員会

(委員会の責務)

第7条 各委員会は、本学において動物実験を計画し、実施する場合、動物愛護法及び告示等を踏まえるとともに、ガイドライン等を参考に、適正な動物実験が行われるよう、次の事項について調査審議し、学長に報告及び助言する。

(1) 動物実験計画が指針等及び機関内規程に適合していることの審査に関すること

(2) 動物実験計画の実施結果に関する助言

(3) 施設等及び実験動物の飼養保管状況の把握、調査及び学長への助言

(4) 動物実験及び実験動物の適正な取扱い並びに関係法令等に関する教育訓練の内容並びに体制に関する助言

(5) その他、動物実験の適正な実施のために必要な事項について助言

(委員会の構成)

第8条 杉本地区動物実験委員会は、次に掲げる委員をもって組織する。

(1) 文学研究科、理学研究科、工学研究科及び生活科学研究科から選出された教員各1名

(2) その他学長が必要と認めた者

2 前項に定めるもののほか、新たに動物実験を行う必要が生じた研究科等においては、その旨を委員会に申し入れ、所属教員から委員1名を選出して委員会に加えるものとする。

3 阿倍野地区動物実験委員会は、次に掲げる委員をもって組織する。

(1) 医学研究科から選出された教員若干名

(2) その他学長が必要と認めた者

(委員の任期)

第9条 各委員会委員の任期は、2年とする。ただし、重任を妨げない。

2 補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(委員長及び副委員長)

第10条 各委員会に委員長及び副委員長を置き、委員の互選により定める。

2 委員長は、各委員会を代表し、会務を掌理する。

3 委員長に事故があるときは、副委員長がその職務を代理する。

(委員会の運営)

第11条 各委員会は、委員長が招集し、その議長となる。

2 各委員会は、委員の過半数の出席により成立する。

3 委員会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数の場合は、議長の決するところによる。

4 委員長が必要と認めるときは、委員会に委員以外の者を出席させ、説明又は意見を聴取する ことができる。

5 委員は、自らが動物実験責任者となる動物実験計画の審査に加わることができない。

6 委員は、動物実験計画に関して委員会において知り得た情報を第3者に漏洩してはいけない。

7 議事の顛末は、これを記録する。

8 その他各委員会の運営に必要な事項は、各委員会において別に定める。

(小委員会等)

第12条 各委員会は、特定の施設等に関する事項を審議するため、小委員会等を置くことができる。

2 小委員会等に関する事項は、各委員会において別に定める。

(各委員会間の連絡調整)

第13条 大学全般にわたる動物実験に関する重要事項については、各委員長は、相互に連絡調整を行い、必要な対策等を行うものとする。

(事務)

第14条 杉本地区動物実験委員会に関する事務は、法人運営本部安全衛生管理室長において行い、阿倍野地区動物実験委員会の事務は、医学部・附属病院運営本部庶務課において行う。

第3章 動物実験等の実施(動物実験計画の立案、審査、手続き)

(申請)

第15条 動物実験責任者は、動物実験計画を立案し、所定の動物実験計画承認申請書をもって学長あて申請するものとする。

2 前項の立案にあたっては、研究の意義、当該動物実験等の必要性等の他に科学上の利用目的を達することができる範囲内において、次の事項について配慮を行うものとする。

(1) 動物実験等の目的と必要性

(2) 代替法の利用

(3) 使用数削減のため、動物種、数、品質、飼養条件等を含む実験動物の選択

(4) できる限り実験動物に苦痛を与えない実験方法の選択

(5) 実験の終了の時期(人道的エンドポイントを含む。)

(諮問)

第16条 学長は、申請のあった動物実験計画については、所管の委員会へ諮問するものとする。

(実験の承認)

第17条 学長は、動物実験委員会の審議の結果に基づいて、実験計画の実施について承認を与えるか否かの決定を行うものとする。

(通知)

第18条 学長は、前条の決定を行ったときは、速やかにその結果を当該実験責任者に通知するものとする。

(実験操作)

第19条 動物実験責任者及び動物実験実施者は、実験操作の実施に際しては、次の事項について留意するものとする。

(1) 動物実験責任者は、予め学長から承認された、適切に維持管理された施設及び設備を用いて動物実験等を行うこと

(2) 動物実験実施者は、計画書に記載された事項及び指針等を参考に以下の事項を遵守すること

 適切な麻酔薬、鎮痛薬等の利用

 実験の終了の時期(人道的エンドポイントを含む。)の配慮

 適切な術後管理

 安楽死の方法(具体的方法の例示)

(3) 安全管理に注意を払うべき実験(物理的又は化学的な材料、病原体、遺伝子組換え動物等を用いる実験をいう。)については、関係法令等及び各機関の関連規程等に従うこと

(4) 物理化学的な材料又は病原体等を扱う動物実験等について、安全のための適切な施設や設備を確保すること

(5) 動物実験実施者は、実験の実施に先立ち必要な実験手技等の習得に努めること

(6) 侵襲性の高い大規模な存命手術にあたっては、経験を有する者の指導下で行うこと

2 動物実験責任者は、動物実験計画を実施した後、所定の様式により、使用動物数、計画からの変更の有無、成果等について学長に報告しなければならない。

第4章 施設等

(飼養保管施設の設置)

第20条 実験動物の飼養保管施設を設置する場合、管理者が所定の「飼養保管施設設置承認申請書」を学長に提出し、その承認を得るものとする。

第21条 管理者は、飼養保管施設の設置について学長の承認を得た後でなければ、実験動物の飼養及び保管を行うことができない。

第22条 学長は、申請された飼養保管施設を所管の委員会に調査させ、その助言により、承認又は不承認を決定する。

(飼養保管施設の要件)

第23条 飼養保管施設は、次の要件を満たさなければならない。

(1) 適切な温度、湿度、換気、明るさ等を保つことができる構造等とすること

(2) 動物種、飼養保管数等に応じた飼育設備を有すること

(3) 内壁等が清掃、消毒等が容易な構造で、器材の洗浄、消毒等を行う衛生設備を有すること

(4) 実験動物が逸走しない構造及び強度を有すること

(5) 臭気、騒音、廃棄物等による周辺環境への悪影響を防止する措置が採られていること

(6) 実験動物管理者が置かれていること

(動物実験室の設置)

第24条 動物実験室を設置する場合は、管理者が所定の「動物実験室設置承認申請書」を学長に提出し、その承認を得なければならない。

第25条 動物実験は、学長の承認を得た飼養保管施設又は動物実験室でなければ、行うことができないものとする。

第26条 学長は、申請された動物実験室を所管の委員会に調査させ、その助言により、承認又は不承認を決定する。

(動物実験室の要件)

第27条 動物実験室は、次の要件を満たさなければならない。

(1) 実験動物が逸走しない構造及び強度を有するとともに、実験動物が室内で逸走しても捕獲しやすい環境が維持されていること

(2) 排泄物、血液等による汚染に対して清掃や消毒が容易な構造であること

(3) 常に清潔な状態を保ち、臭気、騒音、廃棄物等による周辺環境への悪影響を防止する措置が採られていること

(施設等の維持管理)

第28条 管理者は、施設等の適切な維持管理に努めなければならない。

(施設等の廃止)

第29条 管理者は、飼養保管施設及び動物実験室を廃止するときは、事前に学長に届け出なければならない。

第30条 管理者は、動物実験責任者と協力し、飼養保管施設の廃止にあたり、必要に応じて、飼養保管中の実験動物を他の施設に譲り渡すよう努めなければならない。

第5章 実験動物の飼養及び保管

(マニュアルの作成と周知)

第31条 管理者及び実験動物管理者は、飼養保管の標準操作手順(マニュアル)を施設ごとに定め、動物実験実施者及び飼養者に周知しなければならない。

(実験動物の健康及び安全の保持)

第32条 実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者は、飼養保管基準を遵守し、実験動物の健康及び安全の保持に努めなければならない。

(実験動物の導入)

第33条 管理者は、実験動物の導入にあたり、関連法令及び指針等に基づき適正に管理されている機関より導入するものとする。

第34条 前条の導入に際し、管理者は、適切な検疫、隔離飼育等を行わなければならない。

第35条 第33条の規定により実験動物を導入したときは、管理者は、実験動物の飼養環境への順化・順応を図るための措置を講じなければならない。

(給餌・給水)

第36条 管理者は、実験動物の生理、生態、習性等に応じて、適切に給餌・給水を行わなければならない。

(健康管理)

第37条 実験動物の実験目的以外の傷害や疾病を予防するため、管理者は、必要な健康管理を行わなければならない。

第38条 実験動物が実験目的以外の傷害や疾病にかかった場合、管理者は、適切な治療等を行わなければならない。

(異種又は複数動物の飼育)

第39条 異種又は複数の実験動物を同一施設内で飼養又は保管する場合、管理者は、その組合せを考慮した収容を行わなければならない。

(記録の保存及び報告)

第40条 管理者は、実験動物の入手先、飼育履歴、病歴等に関する記録を整備し、保存しなければならない。

第41条 管理者は、年度ごとに飼養保管した実験動物の種類、数量等について、学長に報告しなければならない。

(譲渡等の際の情報提供)

第42条 管理者は、実験動物の譲渡にあたり、その特性、飼養保管の方法、感染性疾病等に関する情報を提供しなければならない。

(輸送)

第43条 管理者は、実験動物の輸送にあたり、飼養保管基準を遵守し、実験動物の健康及び安全の確保並びに人への危害防止に努めなければならない。

第6章 安全管理

(危害防止)

第44条 管理者は、逸走した実験動物の捕獲の方法等を予め定めなければならない。

第45条 管理者は、人に危害を加える等の恐れのある実験動物が施設等の外に逸走した場合には、速やかに関係機関に連絡しなければならない。

第46条 管理者は、実験動物由来の感染症に関する十分な知識の習得及び情報の収集に努め、実験動物由来の感染症の発生時において必要な措置を迅速に講じることができるよう、公衆衛生機関等との連絡体制の整備に努めなければならない。

第47条 管理者は、毒蛇等の有毒動物の飼養又は保管をする場合は、人への危害の発生防止のため、飼養保管基準に基づき必要な事項を別に定めなければならない。

第48条 管理者は、実験動物の飼養や動物実験等の実施に関係のない者が実験動物等に接触しないよう、必要な措置を講じなければならない。

(緊急時の対応)

第49条 管理者は、地震、火災等の緊急時に執るべき措置の計画を予め作成し、関係者に対して周知を図らなければならない。

第50条 管理者は、緊急事態の発生時には、実験動物の保護及び実験動物の逸走による危害防止に努めなければならない。

第7章 教育訓練

(教育訓練)

第51条 実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者は、次に掲げる事項に関する所定の教育訓練を受けなければならない。

(1) 関係法令及び指針等並びにこの規程

(2) 動物実験等の方法に関する基本的事項

(3) 実験動物の飼養保管に関する基本的事項

(4) 安全確保に関する事項

(5) その他、適切な動物実験の実施に関する事項

第52条 管理者は、教育訓練の実施日、教育内容、講師及び受講者名の記録を保存する。

第8章 自己点検・評価・検証

(自己点検・評価・検証)

第53条 指針等への適合性に関し、学長の諮問下、委員会が、管理者、動物実験責任者等から自己点検のための調査資料(自己点検表)を提出させ、大学としての自己点検とするとともに、併せて委員会が評価を行う。

第54条 自己点検・評価の結果については、学外の者による検証を受けるように努めなければならない。

第9章 情報公開

(情報公開)

第55条 動物実験等に関する規程並びに実験動物の飼養保管の状況、自己点検・評価及び検証の結果を毎年1回、大学ホームページに掲載する等の方法をもって情報公開をするものとする。

第10章 補則

(準用)

第56条 哺乳類、鳥類及びは虫類に属する動物以外の動物を使用した動物実験については、飼養保管基準の趣旨に沿って行うよう努めなければならない。

(適用除外)

第57条 産業動物の飼養保管若しくは畜産における育種改良を目的とする教育若しくは試験研究又は生態の観察を行うことを目的とする動物の飼養及び保管については、この規程を適用しない。

(雑則)

第58条 この規程の施行について必要な事項は、学長が別に定める。

2 第6条の各事業場における動物実験に関する取扱いの細目については、この規程及び前項の規定に定めるもののほか、委員会の議を経て委員長が定めることができる。

附 則

(施行期日)

1 この規程は、平成19年4月1日から施行する。

(大阪市立大学動物実験指針等の廃止)

2 次に掲げる指針及び規程は、廃止する。

(1) 大阪市立大学動物実験指針

(2) 大阪市立大学動物実験委員会規程

附 則(平成20年1月18日規程第2号)

この規程は、平成20年4月1日から施行する。

附 則(平成26年3月31日規程第30号)

この規程は、平成26年4月1日から施行する。

大阪市立大学動物実験管理規程/The Regulations on Animal Exp…

平成19年3月23日 規程第18号

(平成26年4月1日施行)

体系情報
第7章 研究支援
沿革情報
平成19年3月23日 規程第18号
平成26年3月31日 規程第30号