公立大学法人大阪市立大学
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大阪市立大学 ・大阪市「新時代パートナーシップ協議会」を開催

大阪市立大学と大阪市は、平成23年6月8日(水)に平成23年度第1回新時代パートナーシップ協議会を開催しました。この協議会は、平成18年度に法人化した大阪市立大学と設立団体である大阪市が、双方の経営課題の解決や、大阪市立大学の人材、知的資産の市政へのさらなる活用を図り、相互の連携をより緊密化していくために、双方のトップである市長と理事長兼学長をメンバーに設置したものです。

  1. 日 時  平成23年6月8日(水)14時30分~15時30分
  2. 場 所  大阪市役所5階 中応接室
  3. 出席者

    《大阪市》平松市長、森下副市長、村上総務局長、北村計画調整局長、森本計画調整局理事 他

    《大阪市立大学》西澤理事長兼学長、柏木副理事長、宮野理事兼副学長、桐山理事兼副学長、安本理事 原理事兼病院長 他

【協議会の概要】
平成24年度から始まる第二期中期目標期間に向けて、大阪市立大学の将来像や目指すべき姿、市政や地域との連携・協働の深め方などについて、双方で議論しました。概要は次のとおりです。

学長説明の要旨

冒頭に、日頃の大学運営にかかわる市の支援に対して謝辞を述べるとともに、市大の創立130周年を記念して実施した2つの事業について以下のとおり報告した。

  • 大阪市の「ふるさと納税制度」を活用した市大への寄附募集では、570件、約4340万円が集まった。
  • 「市大中之島講座」を、庁舎の市会特別委員会室で本学の教員が講師となって開催し、計4回で延べ709人が受講した。

第二期中期目標でめざす市大の使命と行動

  • 第二期中期目標期間は、将来の大学の方向を定めて進んでいく重要な時期であり、今、市立大学に求められる使命を明らかにする必要があると考えている。具体的には、社会が求める優れた人材を育成し、「市立大学は偏差値だけではなく、教育成果で選ばれる」という評価を得ることや、シンクタンク機能の強化等により、「市立大学は地域貢献力が高く、大阪市や関西の発展、市民にとって頼りになる」という社会的評価を得たいと考えている。また、こういった使命を果たすための重点戦略として、「大阪市のシンクタンク、都市科学分野の教育・研究」「専門性の高い社会人の育成」「国際力の強化」の三つを大きな柱としている。一方で、安定的で自立した経営基盤を確立する取組みを進め、10年後には「高度な教育や先進的で卓越した研究を推進し、積極的に入学したい大学」として選ばれ、「社会が求める人材育成の成果が見える大学」「都市の諸課題の解決に向けて積極的に取組み、大阪市を核とした関西圏の発展や国際化をリードする大学」をめざす。
    将来の姿として、「国際社会で活躍する人材育成」「最先端研究により関西・日本の発展に寄与する大学」「知識基盤社会を牽引する開かれた大学」といった理想を追求していく。

    資料1 「新・市立大学」の使命と行動

 

高大連携

  • 高校との連携については、一貫した人材育成により都市に有為な人材を創出する重要な役割だと認識している。理学部や工学部によるスーパーサイエンスハイスクール指定高校への教育支援は、既に高い評価を受けているが、今後も積極的に「咲くやこの花高校」や「大阪ビジネスフロンティア高校(OBF)」をはじめとする大阪市の高校との中等教育の連携強化を図りたいと考えている。

    資料2 高大連携の状況 (22年度の主な取組み)

 

震災への対応

  • 東日本の地震発生後、被災地出身の本学学生の安否確認を行なうとともに、全学的な支援体制を確立し、被災地に対する支援の方策等を協議し本学として可能な限りの支援を行なってきた。
  • 平成23年度の中で、「震災を考える日」として、震災についての本学の取組みや研究活動を様々な観点から発信していこうと考えているが、その第1回として、6月2日に地震を想定した防火・防災総合訓練を実施した。また同日夜には、住吉区と共催で「地域防災フォーラム」を初めて大学で開催し、住民、学生、教職員が一堂に会し、自然災害への対応等について今後の連携や協力のあり方について話し合った。

被災地への学生ボランティア派遣)7月1日から4日まで、ボランティア活動に従事する本学の学生(18名)と教員・職員(各1名)を、岩手県の釜石市災害支援ボランティアセンターに派遣する予定である。

大阪市消防局と本学医学部附属病院との連携)福島原発事故にみられるように、消防隊だけでは対応困難な特殊災害にあたり、医師が専門的なアドバイスをおこない、それによって安全かつ効率的な消防活動が行えるよう、大阪市消防局と市大医学部附属病院では協定を結ぶべく調整を行なっている。

資料3 東北地方太平洋沖地震にかかる本学の対応について

 

都市防災研究

  • 総合大学における複合的な都市科学研究の取組みとして「都市防災」を重点研究テーマに掲げ、震災直後から復興やまちづくりまでの中長期的な視野での都市防災研究を全学をあげて推進していく。

 

最先端研究

  • 本学の最先端研究として取り組んでいる人工光合成研究は、新たな循環型の次世代エネルギー研究として非常に期待を集めているが、国の補助金も獲得して進めていきたいのでご支援いただきたい。
  • また、世界の理論物理の基礎研究において偉大な功績を残された、本学理工学部(現:理学部)の南部陽一郎名誉教授(2008年度にノーベル物理学賞を受賞)に対し、特別栄誉教授の称号授与を予定しており、現在日程を調整中である。

    資料4 ハイブリッド光合成技術開発 ロードマップ

 

公立大学法人の制約

  • 地方独立行政法人法により設置されている公立大学は、国立大学や私学と異なり、様々な制約があり、真に自律した運営を進めていくためには、こういった制約の緩和や撤廃は必要不可欠である。

    資料5 公立大学法人の制約

 

市長からのコメント

第二期中期目標へ向けて求めること

  • 次の6年間は、大学にとって非常に大事な時期である。そのためにも、次期中期計画では、ぜひ何が良かったかをしっかりと検証していただき、伸ばすべきところは伸ばし、改善すべきところは改善していただきたい。例えば最先端の研究を進めていることなど、もっとダイナミックに社会に打ち出して欲しい。また、研究にとどまらず、教育活動でも市大らしさとは何かを明らかにしていって欲しい。つまり、「市大で学びたい」という人材が自然と集まってくるように、キラッと光る取組みを1つでも多く示してほしい。 大学も宣伝ベタではあるが、そうした教育・研究活動の取組みを、市の広報媒体等も利用するなどして情報発信をしていってほしい。

 

研究への支援

  • 研究では、今日的な大都市固有の課題について、総合大学であることを活かして、複合的で先進的な研究をすすめていただきたい。人工光合成の実用化については、大阪だけでなく地球を救うレベルの研究であると認識しており、おおいに期待している。そのために、市も市大への支援を国に対してお願いしていく。

 

地域貢献

  • 大阪には昔から「地域力」があり、それが大阪を支えてきたが、その担い手は市民である。市も「地域から市政を変える」ことを新しい市政改革の方針としてあげている。地域力は今後の社会にとって大事であり、その担い手となる社会人を育てていただきたい。公立大学である市大の重要な役割の1つであると思っている。

 

産学連携

  • 産学連携においては、先進的な研究による成果の実用化、地域の中小企業の人材育成面を含めた連携をお願いしたい。

 

高大連携

  • 24年4月に大阪ビジネスフロンティア高校(OBF)を開設するが、OBFの充実発展に向け、教育内容等について連携をお願いしたい。

 

震災対策

  • 大学が避難場所に指定されているが、この機会に大阪市としても、避難場所に関わる施設の耐震化を積極的に進めていきたいと考えている。財政局にもきかなければいけないが、そのためにどういった支援ができるかを検討したい。
  • また、少子高齢化の社会において、災害発生時に若い力である大学生のボランティア等への参画は非常に有効であり、そうした面でも市大の学生に期待している。

 

公立大学法人の制約

  • 公立大学法人の制約については、大阪市は7月に設置団体協議会の会長市になるので、自主・自律的な運営の妨げとなっている点について、改善を求めていきたい。