防災袋「AIR POST」を開発~マーケティング専攻の商学部生が考案~
商学部 田村ゼミナール(科目名:専門ゼミナール3、担当:商学部 准教授 田村 晃二)3年生11名が、大阪・中崎町のかばんブランド「ichimaruni」と共同で防災袋「AIR POST」を開発しました。
☆本商品は2018/2/21(水)の大阪日日新聞、2018/3/5(月)の日刊工業新聞、2018/3/14(水)のNHKニュース「おはよう関西」、2018/4/19(木)の毎日新聞、201810/17(水)の日本経済新聞で紹介されました!
コンセプト
本製品のコンセプトは、“おしゃれで、コンパクトで、手放せない防災袋”です。
企画開発は、大学広報室が「大学のブランド力を向上させるグッズ」の開発を田村ゼミに依頼したことが発端となりました。「大学内で売れるような物で、大学のブランド力を反映させるには何を作ればよいか。」田村ゼミ生は、本学の防災研究力、そして近年起こりうる南海トラフ巨大地震に着目しました。本学は南海トラフ巨大地震の被害想定地域に含まれており、地震が起こった場合、周辺住民の被災は確実です。ゼミ生の「この地震から学生を守るために、自分たちのマーケティングの学習をどうにかして活かそう」という思いから防災袋の企画開発が始まりました。
田村ゼミが、本学学生306人を対象に行った防災に関するアンケートでは、「学生のほとんどが、危機感があるにも関わらず防災袋を持っていない」ことが分かりました。また、実際に熊本や神戸などの被災地に赴き、被災した大学生などに聞き取り調査を行ったところ、従来の防災袋のほとんどは部屋に置くと違和感があるデザイン、邪魔になる大きさだったために仕舞い込まれ、災害時持ち出すことができなかったことが分かりました。これらの調査により、防災意識の低い学生でも興味を持ち、また、災害時も機能するための防災袋には、おしゃれさとコンパクトさが不可欠だと考え、上記のコンセプトに辿り着きました。商品名の「AIR POST」には、「今までにはない新鮮さ」という意味が込められています。
本製品の特長
「丈夫で軽い」といった特徴を持つ帆布を素材に使用し、デザイン・縫製のすべてを大阪で手掛けるオリジナルバッグブランド「ichimaruni」に協力を依頼しました。防災袋のデザインには、被災時に安全に避難できるように、両手が空くリュック型を採用しました。販売時、中には非常持出品を入れて販売します。本製品の特長は、以下のポイントです。
1.見せる収納
部屋に置いても違和感のないデザインを追求し、インテリアとしても活用できることを目指しました。その結果、コンパクトなBOX型へ変形可能なデザインが出来上がりました。これは、近年流行の「見せる収納」になります。持出品を入れた後には、上部にスペースができるため、寝間着の収納など、さまざまな使い方ができます。
素材は、「ichimaruni」の最大の魅力である帆布で、違和感なく部屋に馴染みます。カラー展開は、レッド、マスタード、ネイビー、オリーブグリーン、ガンメタグレー、ピンクの6色。目を引く豊富なカラーバリエーションは、店頭でも目立ち、プロモーションにも有効なだけでなく、学生の関心をひくための重要なポイントであると考えます。
また、被災時すぐにリュックに変形できるよう、「ichimaruni」のデザイナー 中川氏と綿密に話し合い、改良を重ねました。変形方法は下の画像をご参照ください。
【変形方法】
①収納としても使えるコンパクトなボックス型
②ボックス内に収納されている肩紐・折り込み部分を引き上げます
③上部にあるボタンを留め、肩紐のバランスを調整します
④あっという間に両手をあけて避難できるリュックに変身!
2.厳選された内容物
防災袋市場を調査すると、既存の防災袋の多くは、持出品と備蓄品が混同して入っているために、大きくて重いことが分かりました。そこで、本学都市防災教育研究センターなどの防災研究機関や複数の防災士の方々、そして、実際にゼミ生自ら熊本に足を運んだ際にお会いした多くの被災者の方々に行った聞き取り調査を行いました。本製品の内容物は、被災時に本当に必要な物だけを厳選しており、1つの内袋にコンパクトに収納されています。
なかでも、災害備蓄用焚黒糖とオリジナルマニュアルは特にこだわりの内容物です。焚黒糖は大阪・浪速区の老舗黒砂糖メーカー、上野砂糖株式会社にご協力いただきました。防災製品等推奨用品にも認定されており、少量で高い栄養価と満腹感を得ることができます。また、オリジナルマニュアルには、本学都市防災教育研究センターや防災士の協力・監修のもと、災害時の行動マニュアルなど役立つ情報を多数掲載しています。
3.価格
販売価格は、税込9,980円※です。これは、ゼミ生が行った防災袋市場調査から算出した市場価格平均の約7割の価格です。価格交渉初期には、価格は10,000円をはるかに超えていました。しかし、端数価格心理を踏まえ、目標価格を4桁以内に再設定し、内容物の精査および取引先各所との値下げ交渉を重ねました。初防災袋にインテリア収納BOXという付加価値がついていながら、大変リーズナブルな価格となっています。
田村ゼミ生の声~企画・開発までの道のり~
コンセプトが今までの防災袋にはなかったものであるために、決定まで何度も練り直し、本当に苦労しました。コンセプトが決まってからも、内容物を定期的に検討したり、被災地を訪問してたくさんの方に聞き取り調査を行ったり、同時に11月の研究発表会の準備を進めたりと、寝る間もなく多忙でした。しかし、ゼミ生一丸となって、企画に取り組んだこの1年間は、とても充実していました。「AIR POST」の企画開発を研究題材として発表した、日経BP主催の西日本インカレでは審査員特別賞を受賞することができ、多くの方からご好評をいただけました。
田村ゼミメンバー(2017年度)
池田 聖 | 吉本 茉由 |
澤田 真佑 | 楠瀬 玲奈 |
茂森 若菜 | 高橋 玲菜 |
真柄 晴菜 | 前田 嘉哉 |
宮本 哲也 | 松下 真由子 |
横尾 裕貴 |