公立大学法人大阪市立大学
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教育・学生生活

2013年度交換留学レポート(中国 深圳大学)

文学部2回生 後藤瑞紀

 私は9月から1月の一学期間、中国の深圳大学に交換留学をしました。深圳の夏はとても暑く、また6月には雨がたくさん降るらしいので、9月からの留学は比較的過ごしやすく、よかったです。

 大学では、留学生向けの中国語の授業は午前中にだけあり、午後は希望者には「切絵」や「書道」や「太極拳」や「英語」などの授業が週に1~2回ずつあります。土日は、授業は休みです。
 語学の授業のクラス分けは、自分の希望で決めます。「入門」「初級」「中級」「高級」「ビジネス」のクラスがあります。私は最初、まったく話せない状態で行ったので、「入門B」クラスに入りました。授業は「精読」「会話」「聴力」の3種類があり、その中から毎日2つずつ行ないます。語学レベルが低いクラスの先生は英語が話せる人が多く、英語と中国語を交えての授業です。レベルの高いクラスでは全て中国語で授業が行なわれます。11月ごろには中間テスト、1月には期末テストがあります。
 午後は「書道」の授業をとりましたが、それ以外には授業は取らなかったので、現地でできた友達とご飯を食べに行ったり、遊びに行ったりと自由な時間を過ごすことができました。10月初めには国慶節の連休があり、いろんな場所へ出かけたりできます。

 その他、交換留学生の歓迎会パーティや、クリスマスパーティなどもあります。また、留学生による芸術発表会のようなものもあり、私はそれにも、スリランカの人とダンスをして参加しました。

 深圳大学へ留学する大阪市立大学の生徒は今回が初めてらしく、あまり情報がないままの留学だったので、行く前はとても不安でした。しかし、向こうに着いて初めのころは、深圳大学に通う日本人の方にいろんなことを助けてもらい、その不安もしだいに無くなっていきました。

 寮は一人部屋ですが、日本での環境と比較すると、もちろん良い環境ではありません。最初は、トイレとシャワーが、全く仕切りの無い同じ空間にあることや、そのシャワーの部屋の床に小さな虫がわいていたこと、男女同じ共同洗濯機を使うといったことに、驚いたり困ったりしていました。しかし、慣れてくると、普通に生活できましたし、虫も頑張って駆除するうちにいなくなりました。人間は、その場の環境にすぐに適応できる能力があるのだな、と改めて思いました。私自身、この留学を通して、いろんな面で少し強くなった気がします。

 食事の面では、アジア、とくに中国でよかったな、と思いました。私は一度、オーストラリアに行ったことがありますが、欧米の料理は私には合わなかったからです。大学の周りにはたくさんの中華料理屋さんがありましたが、どこも美味しかったです。中国では水餃子がよく食べられますが、本場の水餃子は、日本のものより美味しいと思います。また、他より少し値段は高かったですが、大学近くには飲茶のお店もあり、私はそこが一番美味しいと思いました。韓国料理屋さんもたくさんあり、いろんな料理が食べられます。日本料理店は大学の近くにはありませんが、少し歩いたところにはありました。値段も比較的安く、味も美味しかったので、日本の味が恋しくなると、そこへ行って食べました。大学内にはたくさんの食堂があります。値段は驚くほど安いのですが、味の保証はできません・・・。しかし、中には美味しいものもあるので、いろんなものを食べて確かめてみるのもいいと思います。
 大学内にはスーパーやコンビニや、パン屋さんなど、いろんなお店があり、生活は便利です。飲み物やお菓子も、いろんなものが売っていますが、売っているお茶は基本全て甘すぎて、私は飲めませんでした(甘くないものも少しあります)。お菓子は、日本の真似なのか真似じゃないのかわからないようなものや、中国オリジナルで美味しいものなど、様々なものが売っていたので、それもいろいろ食べて確かめてみるといいと思います。
 多くの日本人は、きっと、中国の食べ物に不信感を抱いていると思いますし、私も少し抱いてはいますが、やはり、中国の人は普通にそれを食べて生きているのだから、大丈夫だろうと思うことにし、いろんなものを食べてみました。最初はお腹を壊しました。しかし、それも慣れます。私は特に強かったのか、最初以降あまりお腹を壊すことはありませんでした。食べ物屋さんで出される水や、飲み物の中の氷はあまり良くないと聞いていましたが、それも平気でした。
 しかし、やはり初めて海外でこんなに長く生活すると、普段全く病気にならない私でも、数回辛い経験をしました。しかも、初めの一回は、日本から持っていった薬では対処できないものでした。日本から薬を送ってもらうにも、時間がかかるので、仕方なく、中国人の友達に頼んで、一緒に薬を買いに連れて行ってもらいました。正直、中国の薬を飲むのはとても怖かったです。かなり心配でしたが、その友人が「漢方薬だから大丈夫」と何度も言ってくれたので、信じて飲みました。そして、無事、その病気も治りました。その後、熱が出たりしたこともありましたが、友人たちがいろいろ助けてくれ、すぐに治すことができました。一人だったらどうなっていたか、想像もできません。

 留学に来て間もないころは、まだ授業もなく、友達ができるかと不安でした。しかし、幸運にも、私がたまたま大学の事務室にいたときに、日本に一年間留学して帰ってきたところだった中国人の女の子がいきなり話しかけてくれ、友達になれたのです。その人とはとても仲良くなり、よくご飯を食べに行ったり、広州に旅行に行ったりもしました。日本に帰って来ても連絡をとっており、本当に偶然でしたが、出会えて良かったと思います。そして、授業が始まったり、いろんな行事に参加したりするうちに、たくさんの国の人と関わる機会ができてきました。授業のクラスは、日本人は私一人でした。クラスメイトは全員私よりも年上で、仕事もしているような人たちでした。アメリカ、イギリス、韓国、フランス、ブラジル、ベネズエラ、モロッコ、ロシアと、本当にいろんな国から仕事などの理由で中国に来ている、普段私が日本では関わらないような人たちと一緒に勉強することができました。海外のいろんな場所へ行って働く人たちを見て、とても影響を受けました。

             クラスメート.JPG
               (クラスメイト)

 とくに、いつも私の隣の席で学んでいたロシア人の女の人は、漢字を書くのも上手で、まじめにコツコツと勉強していて、尊敬していました。私たち日本人は、漢字なんて簡単に書けますが、ロシア人やその他の国の人にはどんなふうに見えているのだろう、と不思議でした。私は漢字においては、すでにわかることの方が多いのに、負けていたら恥ずかしい!と思い、頑張っていました。すると、学期末にある修了式のときには、優秀学生の一人に選ばれました。自分でも、日本で少し学んだときよりも、発音のレベルや、会話できるレベルが上がったな、と実感できました。
 授業だけでは、先生以外で中国人に出会う機会はありません。しかし、前に来た日本人留学生が作った、日本語コーナーという、日本語を勉強している中国人と、日本人が集まって交流するという機会がありました。そこで、出会った人たちと一緒にカラオケに行ったりご飯を食べに行ったりしました。こちらが日本語を教えて、向こうが中国語を教えるといった、相互学習もできました。政治の面では、日中関係は良くないことばかりですが、日本語を一生懸命に学んでくれる人、日本のドラマやアニメがすごく面白い!大好き!と言ってくれる人がたくさんいて、嬉しかったです。日本にいたときは特にそういう気持ちを持ったことはなかったのですが、そういう人たちと話すことによって、日本はとても素晴らしくて誇れる国だと強く思えることができました。

 11月ごろには、留学生による芸術発表会のようなものもあり、仲良くなった日本人の女の子が誘ってくれたので、私はスリランカの人とダンスをして参加しました。初めて踊るダンスは、ほぼ毎日の練習が大変でしたが、いろんな話をしたり、一緒に衣装の準備をしたりし、舞台も無事に成功した後は、とても達成感があって、参加してよかったと思いました。
 私は、人見知りで、初めて会った人に話しかけたりするのはとても苦手ですが、友人の友人、のように、あらゆる人のつながりにも助けられ、たくさんの人と接することができました。そして、みんな本当に親切で、前述のように病気などで困ったとき、心配してくれたり、助けてくれたりしました。
 せっかく中国に来たのだから、いろんなところに行ってみたいと思いました。深圳は新しく発展してきた都市なので、歴史は浅いですが、良いところでした。中国の南の方なので、北京や上海ほどは大気汚染もされていません。また、広州や香港が近いので、本当に気軽に行けます。広州も大都市で、たくさん観光地があり、中国人の友人が案内してくれたので、いろんなところに行けました。特に、遊覧船に乗って見た、中国一高い広州タワーや夜景が印象的です。香港にも何度も行きました。香港では、中国本土では売っていないような日本の物が売っていたり、その時にもよりますが、日本の映画も上映したりしているので、日本が恋しくなった時には良いです。ただし、香港は広東語と英語が主なので、中国語があまり意味無いような気持ちになります…。他にも香港のあらゆるところに行きました。しかし、まだまだ行けてないところがたくさんあるので、ぜひまた行きたいと思っています。


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                 (広州タワー)

 中国は、確かに、日本人からすると、住むのは少し大変なところはあるかもしれませんが、慣れれば大抵のことは普通になってきますし、日本よりいいな、と思う面もたくさん知ることができました。やはり、物価が安いです。一番いいのは、交通費が安いことでした。そのおかげで、いろんなところに観光に行けました。日本では、タクシーはとても高く感じますが、中国のタクシーはとても安いです。そのうえ、私が乗った限りでいえば、そんなに危険でもなく普通でした。また、深圳は地下鉄も完備されているので便利です。一学期間では、歴史が長く土地も広大な中国のことを知るのにはまだまだ短かったです。例えば、中国で一番盛り上がる、旧正月を、一月半ばに帰った私はどんなものか見ることができませんでした。深圳は南の方にありますが、北の方には、北京、上海などの大都市があります。西安出身の友人の影響で、西安にも行ってみたくなりました。中国は、一度行ってみれば、もっと見てみたくなるところだと思います。行く前に、さんざんいろんな人に、気をつけて!と言われて、私も不安でしたが、行ってみると、みんな、日本人のように、ただ普通に生活をしている人たちでした。危なそうだから…と思って、一生行かないのは勿体ないと思いました。