大阪市における生活保護データの分析結果を発表しました
この研究発表は下記のメディアで紹介されました。<(夕)は夕刊>
◆7/7 NHK「ニュースほっと関西」
「ニュース845」
毎日放送「Today’s Voice」
「VOICE」
関西テレビ「報道ランナー」
◆7/8 朝日放送「ABCニュース」
読売新聞
朝日新聞
毎日新聞
産経新聞
大阪日日新聞
日本経済新聞(夕)
大阪市立大学公共データ解析プロジェクトチームは、このたび、大阪市が保有する行政データを活用したビッグデータ分析における国内初の事例として、生活保護を対象としたデータ分析の結果を取りまとめ、公表しました。
この調査は、本学が平成28年6月に大阪市と締結した「大阪市の地域福祉等の向上のための有効性実証検証に関する連携協定」に基づき実施されたものです。大阪市では、最先端ICT都市の実現に向け「大阪市ICT戦略」を策定し、そのなかで「積極的なデータ活用の促進」として、データ分析に基づく効果的な施策の実施に向けた取り組み(ビッグデータ活用)を進めています。
これは、市が保有する行政データを活用して分析した国内初の事例となる試みです。
発表内容の詳細はこちらの資料をご参照ください。
地域連携センターwebサイト
https://www.connect.osaka-cu.ac.jp/4c/170707-2/
目的
このプロジェクトは、大阪市が保有するビッグデータを有効に活用し、データ分析に裏付けられた効果的な施策を実施することで、大阪市による市民サービスの向上と効果的な行政運営を行うことを最終的な目的としています。
なかでも今回の実証は、ビッグデータ分析に必要となる作業工程の洗い出しをはじめとして、データを取り扱う際の留意点、また付随する手続き、さらに分析結果に基づく施策へ反映する考え方等の検証を通じて、大阪市におけるビッグデータ活用手法を確立することを目的として取り組みました。
また、今回の実証では、生活保護システムの持つデータを活用し、生活保護と年齢や性別、受給期間などさまざまな事項の関係や要因分析を行うことにより、今後の大阪市における生活保護施策の検討に役立てることも視野に入れ、分析を行いました。
大阪市立大学 公共データ解析プロジェクトチームについて
上記の連携協定締結とともに、さまざまな専門分野の教員から成るプロジェクトチームを設置し、専用の解析室を学内に設けました。このプロジェクトチーム設置の目的は、政策研究の強化とアカデミックなアプローチを政策支援につなげること、また、専門人材育成や研修等による、社会実践性を有するマネジメント人材の育成を推進することとしています。
2016年度は、大阪市ICT戦略室より「大阪市の地域福祉等の向上のための有効性実証検証にかかるデータ分析業務」の委託を受け、主に以下についての分析を実施しました。
①新規の生活保護受給動向、他自治体からの流入等が生活保護率の増減に与える影響について
②生活保護廃止において、就労という要因がどれほど働いているかについて
③受給期間の長短が生活保護増減に与える影響について
[分析担当 ①②:水内俊雄教授(都市研究プラザ) ③:五石敬路准教授(創造都市研究科)]
水内 俊雄(みずうち としお)(都市研究プラザ兼文学研究科 教授) 京都大学卒。九州大学、富山大学を経て、1995年より現職。近代都市の形成の空間的系譜を紐解く歴史地理学、都市史研究がベースで、近年は都市問題的側面を扱う事が多い。ホームレス問題や居住福祉、NPOに関わる政策支援研究に重心を置く。編著『都市大阪の磁場』(大阪公立大学共同出版会、2015年)、『都市の包容力』(法律文化社、2017年) |
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五石 敬路(ごいし のりみち)(創造都市研究科 准教授) 東京大学卒。アジア開発銀行研究所、財団法人東京市政調査会を経て現職。著書に『生活困窮者支援で社会を変える』(共著、法律文化社、2017年)、『現代の貧困ワーキングプア-雇用と福祉の連携策』(日本経済新聞出版社、2011年)など。雑誌『ソーシャルアクション』編集長。貧困研究会副代表。 |
ビッグデータ分析の概要
1.2005年度、2010年度、2015年度の各年度内に保護を開始したケースを分析
- 年齢構成では、男女とも高齢化の傾向がみられるほか、男子では若年層の増加、女子では後期高齢者の増加が目立っている。全体の保護開始数は、男女とも2010年は突出したが、男子においては2005年に比べると2015年は減少傾向にある。
- 市民となった日から生活保護受給開始日までの期間のデータをもとに、6か月未満のケースを分析した。2015年度男性では「単身その他」世帯が26.6%と高く、大阪市における生活保護受給者について、他自治体からの流入などの数値的根拠が今回の分析で初めて得られた。
- 今回の分析で初めて、生活保護受給開始日から廃止日までの期間が算出可能となり、就労による収入増加等を廃止理由としたケースや廃止までに要した期間などを数値的に明らかにし、就労による生活保護脱却率に関する判断材料が得られた。
2.2011年から2016年の間に生活保護を廃止した被保護世帯等のデータを分析
- 平均受給日数は増加傾向にあり、2011年11月時点では579日だったものが、2016年9月時点では879日に増加。
- 年齢別では65歳以上とともに、22歳以下の子どもの平均受給日数が長い。性別では女性の平均受給日数が男性に比べ顕著に長い。また、22歳以下と女性の受給日数は、分析期間の5年弱の間に2倍近く増加している。
- 稼働世帯、非稼働世帯にかかわらず、受給日数は長期化する傾向にある。
大阪市ICT戦略室 関連URL(報道発表資料)
http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/ictsenryakushitsu/0000404599.html