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大阪市の10年間累計約20万人分のビッグデータを解析 要介護認定を受けた高齢者の特徴が明らかに

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本研究のポイント

◇大阪市が保有する多数・多様な介護保険ビッグデータを解析
◇独居高齢者の新規要介護認定時の年齢は、男性75.7歳、女性79.8歳
◇独居であることが認知機能や生活機能の維持と関連

概要

 大阪市立大学「福祉局ビッグデータ解析プロジェクトチーム」は、大阪市福祉局から依頼を受け、市から提供された介護保険データビッグデータを分析し、その結果を取りまとめました。
 この研究は、本学が2017年2月に大阪市と締結した「健康寿命の延伸に関する包括連携協定」に基づく事業の第一号として実施しました。大阪市では、最先端ICT都市の実現に向け「大阪市ICT戦略」を策定し、そのなかで「積極的なデータ活用の促進」として、データ分析に基づく効果的な施策の実施に向けた取り組み(ビッグデータ活用)を進めています。 今回は、福祉局が取り組んでいる認知症施策への反映を目指して大阪市福祉局から提供を受けた介護保険データを研究・分析しました。
 なお、本研究結果は、大阪市福祉局より公開されています。大阪市報道発表資料

研究の目的

 このプロジェクトは、大阪市が保有するビッグデータを有効に活用し、データ分析に裏付けられた効果的な施策を実施することで、大阪市による市民サービスの向上と効果的な行政運営を行うことを最終的な目的としています。
 今回の研究では、2007年度から2016年度までの大阪市要介護認定情報に関するデータを活用しました。対象期間に新規要介護認定を受けた高齢者は196,140人おられ、各々の認定時における特徴を独居/非独居、年齢・性別、介護保険料段階、介護サービス利用の状況、認知機能、生活機能、施設入所の有無など多岐にわたるデータ項目を解析することにより、明らかにすることを目指しました。特に、高齢者の独居が認知機能・生活機能の低下や死亡のリスクにどの程度影響するか分析しました。 

研究の背景

 大阪市の高齢者の特徴として、高齢者世帯のうち単身世帯が42.4%(全国平均27.3%)と半数近く占めていること、認知機能が低下した高齢者の増加率が高齢者人口の増加率より高いことが挙げられます。周囲の人々と交流が少ない独居高齢者は、認知機能の低下が早期に発見されず、重度化した状態から介護給付等の対象になる可能性があります。また、独居高齢者に認知機能や生活機能の低下がみられる場合、在宅生活の継続が困難になるため、速やかな認知症対策・介護予防を講じる必要があります。

研究の結果

  今回の分析結果より、大阪市の高齢者が新規に要介護認定を受けた時点では、男性の独居高齢者は女性の独居高齢者に比べて、年齢が若い特徴がみられました。また、独居高齢者であることは認知機能や生活機能の維持と関連しており、認知機能・生活機能を維持しているため独居を継続している可能性や独居者は機能低下の前に生活上のニーズから要介護認定を受けている可能性が考えられます。独居高齢者と非独居高齢者の生存率には男女とも違いはみられませんでした。
 なお,今回の分析では独居を大阪市の賦課情報により世帯人員を定義しましたが,独居高齢者の生活背景は多様であり、より具体的な対策を講じるためには家族構成や他者との交流状況を踏まえた解析が必要と考えられます。

大阪市立大学福祉局ビッグデータ解析プロジェクトチーム

 上記の連携協定締結とともに、さまざまな専門分野の教員から成るプロジェクトチームを設置し、2017年度、大阪市福祉局より「認知機能低下を含む要介護状態の重度化防止及び介護予防のための介護保険データの解析研究業務委託」の委託を受け、分析を実施しました。
<プロジェクトチーム メンバー>

看護学研究科河野あゆみ教授(在宅看護学)
医学研究科
(医療統計学分野)
新谷歩教授、斯波将次准教授、吉田寿子特任准教授、
石原拓磨特任助教
経済学研究科 松本淳教授 、岡澤亮介准教授 、小川亮准教授
都市経営研究科 水上啓吾准教授

今後の展開

 今回の解析により大阪市全体の特徴は明らかになりましたが、区によって高齢者の独居状況や生活特性が異なる可能性があり、今後これらを考慮した詳細な解析が必要と考えられます。
 また、経済学の視点からも追加解析を行う予定です。例えば、日本の介護保険制度の特性・変遷に注目して、介護保険制度が提供するサービスが人々の健康状態に与える影響の推定およびその経済的影響を分析するために、介護サービスに対する人々の需要行動を分析し、需要の価格弾力性等の推定を行うことなどを考えています。