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視覚障がい者の歩行を案内する車輪付き杖装置~商業施設にて実証実験を実施~

実証実験の様子
実証実験の様子

 2019年1月16日(水)、17日(木)の両日、アジア太平洋トレードセンター(ATC)にて、工学研究科 今津 篤志(いまづ あつし)講師らの研究グループが「視覚障がい者の歩行を案内する車輪付き杖装置」の実証実験を行いました。

 今回の実証実験で使用した車輪付き杖装置は、車輪の付いた杖型の視覚障がい者向けの歩行者案内システムで、杖の先端に車輪、センサ、コンピューターが付いており、先端の車輪を接地させたまま杖を介して装置を押して歩行することで、あらかじめコンピューターに設定された車輪が操舵を行い、歩行者を案内します。

 不特定多数の利用者が行き交う公共空間で行うことで実運用に向けた課題を探すことを目的に、昨年度に引き続き、2回目の実証実験となりました。昨年度は目が不自由ではない方を対象にしていましたが、今年度は視覚障がいがある方13名をを対象とし、ステアリングなどの案内意図が利用者に正しく伝わり、装置が案内する軌道を安全に追従できるかの検証を行いました。

 装置に慣れるまでは蛇行してしまう方もいらっしゃいましたが、ほとんどの方が設定したゴールまで完走できました。またセンサを利用してブレーキをかけることにより周囲の歩行者との接触を避けたり、自動ドアが開くのを待ったりすることもできました。

 しかし、案内経路から大きく逸れてしまった方もいらしたこと、装置に何回か不具合が発生したことなど、実運用に至るまでに多くの改善も必要であることが分かりました。また、今回は歩行者が比較的少ない時間帯に行い、実験関係者が何人も同行していたため周囲の歩行者が近づくことがもともと少なかったこともあり、さらに多くの検証が必要になります。

実験後に行った聞き取りでは、「早く日常で使えるようにしてもらいたい」といった要望や、「もう一回り小さくして欲しい」、「音声案内も同時に行ってほしい」、「階段で持ち上げて運ぶには重すぎるのでエスカレーターでも使えるようにしてもらいたい」などの真剣に利用を想定した意見をたくさんいただきました。今回の結果から浮き出た課題を一つ一つ解決し、安心して安全に使用できる装置の開発に真摯に取り組んでいきます。

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車輪付き杖装置

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実験後の聞き取りの様子