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日本初!院外への迅速な情報発信が命を救う

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3/8実施の記者レクチャーの様子

この研究発表は下記のメディアで紹介されました。
◆3/9 京都新聞
◆3/10 大阪日日新聞
◆3/11 中部経済新聞
◆3/22 日刊工業新聞
◆4/3 熊本日日新聞
◆4/17 毎日新聞

本発表のポイント

◇ ベッドの空き状況や、職員の対応者一覧など全てをIoT化するのは全国初
◇ 時間と労力を節約することで、状況を見極め冷静に最善の判断へ導く
◇ 院内LAN使用のため、災害時でもネットワークの影響を受けにくい

概要

 大阪市立大学大学院医学研究科 救急医学の山本 啓雅(やまもと ひろまさ)病院教授らの研究グループは、スマートフォンを用いて災害時の院内情報を本部に集約・分析を行う「災害時院内情報管理システム」を考案しました。
 本システムでは傷病者診断だけでなく、ベッドやICUの空き状況、ライフラインや医薬品の使用状況など院内のあらゆる情報をタイムリーに集約することが可能となります。これまでに3回の訓練で実際に使用し、昨年発生した大阪北部地震や台風21号での経験をふまえ、さらに本部から各部署への指令用連絡ツールや職員対応者管理ツールを追加し、BCP※1に対応してライフライン情報を充実させた新たなシステムを考案し、2019年3月7日より本学医学部附属病院へ導入する運びとなりました。本システムの導入により時間と労力の節約が可能となり、EMIS※2へタイムリーな情報を提供することで、より多くの患者に最善の医療が提供できると期待されます。
※1 BCP…災害等が発生した場合でも、損害を最小限に抑え、事業継続を図るための計画

※2 EMIS…災害時の医療情報をインターネット上で共有し、被災地の医療情報を集約して提供するシステム。医療機関同士で情報共有を行い、被災地内病院へのDMAT派遣やライフライン支援につなげる。

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山本啓雅病院教授

👉研究者からのひとこと
 当院での災害訓練や、地震・台風などの実災害で苦労したことを解決するために作られたシステムです。ぜひ多くの病院でも導入され、各病院の、ひいては全国の病院の災害対応のレベルアップにつながることを期待しています。

本システムについて

 南海トラフ地震等の巨大地震では多数の傷病者が発生することが予測されています。大規模災害発生時に一人でも多くの患者を救うには、一般病院を含めた全医療機関が自院の被害状況や対応能力などを把握し、自院として最善の策を取るとともに、その情報を発信し、被災地内外で共有してDMAT※3派遣やライフライン支援につなげるといった、全体的な対応を取ることが重要です。しかしながら、災害拠点病院に指定されている医療機関であっても、災害発生時に自院の被害状況や、傷病者への対応能力などを素早く把握し、適切に人員配置を行い、情報発信を行うなどの体制が整った医療機関は極めて少ないのが現状です。本院でもこれまで災害訓練を行ってきましたが、一定時間ごとに各病棟や手術室・放射線科・血液検査・輸血などの中央部門から必要な情報を紙ベースで集め、本部でこれらの情報を整理・転記するのに時間や労力を費やし、十分な分析や対応ができませんでした。
 そこでスマートフォンを用いて院内情報をタイムリーに集約できるシステムを考案し、2017年より訓練で使用して効果を検証してきました。昨年発生した大阪北部地震や台風21号での経験をふまえ、新たに本部への報告・本部からの指示を可能にする「クロノロジー4」、職員の勤務状況を管理する「災害対応者一覧」の機能を追加しました。またBCPに対応して、ライフライン情報も充実させ、今回のバージョンアップにより、災害対応における院内情報共有の完全IoT化が実現しました。
※3 DMAT…専門的な訓練を受けた医師やコメディカルからなる災害派遣医療チーム
※4クロノロジー…情報を時系列に沿ってまとめること

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今後の展望

 本システムは、部署名などの基本情報を変更するだけで、簡単に他の医療機関で使用することが可能です。院内の情報を本部に集約し、災害対応をしつつ、院外への情報発信を行うことは災害拠点病院に限らず、全医療機関で求められます。本システムが多くの医療機関で導入されれば、地域全体の医療対応能力のアップにつながると考えます。

資金情報

 平成27年度 地域救急医療システム推進事業補助金(大阪府)※旧システム導入時