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防災教育ARアプリで、より現実的な仮想災害体験が可能に!~国土地理院主催Geoアクティビティコンテストで防災減災賞を受賞~

191216-9.JPG 大阪市立大学都市防災教育研究センター(CERD)の吉田大介(よしだ だいすけ)兼任研究員、三田村宗樹(みたむら むねき)所長、佐伯大輔(さえき だいすけ)副所長と、応用技術株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役:船橋 俊郎)の研究チームは、防災教育向けARアプリ(CERD-AR)の改良を行いました。この度の改良により、本アプリではAR表示された地図データ上に火災や浸水災害などをアニメーション表示することで、より現実的な仮想災害体験ができるようになりました。
 また、本アプリは2019年11月28日〜11月30日に開催された国土地理院主催のG空間EXPO2019 Geoアクティビティコンテストで、「防災減災賞」を受賞しました。

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研究内容

 大阪市立大学CERDでは、火災や浸水といった仮想的な災害や防災関連施設をAR表示するスマート端末(iOS)向けの地図アプリ”CERD-AR”を開発し、2017年にオープンソースとして公開してきました。(2017年1月6日付プレスリリース「防災教育向けARアプリを開発!オープンソースソフトウェアとして公開」)このアプリを使用することで、地域にどのような災害リスクが潜在するのか、近くにどのような防災関連施設が用意されているのかなどについて、現地で地理空間的な理解を助けることができます。
 次の研究開発ステップとして、よりリアルな仮想災害体験を可能にするために、アニメーションによる災害表示機能を開発しました。これにより、災害訓練や防災まち歩きに臨場感やゲーム要素をもたせ、楽しみながら防災を学び、訓練効果の向上や訓練の継続性を見込めると考えます。

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炎と黒煙のアニメーション

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ブロック塀倒壊のアニメーション

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浸水と雨のアニメーション

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家屋倒壊のアニメーション

 また、今回のリリースでは、国土地理院などがWebで配信する地図データをCERD-ARで重ねて表示し、さらにそれをシームレスにAR表示できる機能を実装しました。これにより、ハザードマップ等の専門的なデータを、現実の風景に重ねて分かりやすく可視化することで、より直感的に災害リスクを現地で学ぶことが可能になります。

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浸水想定図をAR表示

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土地利用図をAR表示

本アプリの優位性

 地図データをAR表示するスマート端末向けアプリはすでに存在しますが、アプリを使用できる地域が限定されたもの(例えば、〇〇市のARコンテンツのみを保有)が一般的です。また、ソースコードが公開されておらず、他の地域向けに機能を追加することや、コンテンツの入れ替えなどのカスタマイズをすることはできません。本学で開発したARアプリは、オープンソースとして公開しているため、他地域への展開や、アプリの自由なカスタマイズが可能となっています。
 また、今回リリースした地図(GIS)データのAR表示機能については、国土地理院が採用している地図タイル画像配信における標準的な規格(XYZタイル方式)であり、国や研究機関などがこの規格で配信している既存のデータだけでなく、独自に作成した地図データについても容易にAR表示することが可能となっています。この点についても他のアプリにはない独自性の高い機能だと言えます。
 本研究において開発したアプリは、さまざまな地域や用途で広く活用できるようにオープンライセンスとして2017年1月6日(金)よりWeb上に公開しています。

◆アプリのソースコード・ドキュメント公開サイト:https://bitbucket.org/nro2dai/cerd-ar/

本アプリの実験的活用事例

 2019年11月17日(土)に、大阪市住之江区の親子向けの「ARたいけんまちあるき」においてARアプリを活用し、参加者に住之江区の様々な災害リスク(南海トラフ地震による津波、大和川氾濫による浸水、木造家屋密集地における火災、ブロック塀倒壊など)をまち歩きの中で仮想体験してもらいました。まち歩きでは、災害を地域で起こり得る箇所に仮想的に発災させ、自分の住む地域にどのような災害リスクが潜在するのかということを、単に専門家の話を聞きながらまちを歩くだけでなく、ARアプリにより、アニメーションや警告音などで仮想災害を体験してもらいました。また、水害時避難ビルに実際に避難してもらい、河川氾濫した場合はどのような行動をとる必要があるのかといったことを学んでもらいました。訓練後に実施したアンケート調査では、ARを活用したまち歩きは望ましい効果をもたらしたという結果が得られました。
 他にも、本ARアプリの代表的な活用事例として、2017年11月8日に関西国際空港の空港スタッフ約180名を対象とした地震津波防災訓練があります。訓練では南海トラフ地震により大津波警報が発表された場合を想定して、ARアプリのタイマー設定により津波や火災、建物倒壊といった仮想災害をリアルタイムに発災・拡大させ、臨場感のある避難体験をしていただきました。

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ARアプリを使用して災害を確認

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ARアプリを使用して災害を確認

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今後の展開

 CERDで実施しているコミュニティ防災教室の「まち歩き」で本アプリを使用するのはもちろんのこと、来年度に実施予定の外国人向けの防災まち歩きでも活用する予定です。また、より現実味を感じられるような表示性能を高めるために、以下の開発を行う予定です。

・ 海外で使用・開発が行えるように多言語化対応
・ カメラで認識した物体に対する画像効果(道路を自動認識し液状化現象のような画像効果を作動するなど)
・ Apple Watchと連携し避難行動の解析研究(GPSログ、生体情報の解析、災害の通知機能など)

 本アプリは、より多くの方に使用していただくために、ドキュメントの整備や、App Storeへ最新バージョンの登録を近日中に行う予定です。

本研究について

本アプリは、下記の資金援助を得て開発いたしました。

・平成27年度 科学技術振興機構(JST)科学技術コミュニケーション推進事業 問題解決型科学技術コミュニケーション支援ネットワーク形成型「公立大学防災センター連携による地区防災教室ネットワークの構築」
・平成30年度 日本建設情報総合センター(JACIC)研究助成「防災教育向けARアプリの開発とその活用に関する研究」