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全地球生命運動能の起源と進化を世界で初めて提案

プレスリリースはこちら

概要

 大阪市立大学理学研究科 宮田 真人(みやた まこと)教授らの研究チームは、文部科学省による約15億円の支援を受け、2012年から2018年にかけて47研究チームで行った新学術領域研究、「運動超分子マシナリーが織りなす調和と多様性(略称:運動マシナリー)」から得られた実験結果と議論を基に、これまでに見つかったすべての運動能の起源と進化を、世界で初めて提案しました。

 本内容は2020年1月20日、日本分子生物学会の欧文誌である『Genes to Cells』に掲載されました。

研究者からのひとこと

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宮田 真人教授

 目的に従って動くこと、すなわち“運動能”は生きものの本質と言ってもよい特徴です。それら全ての起源と進化を議論することは生物学者の長年の夢でした。私たちは運動能に関する最新の研究成果と、近年進展の著しいゲノムサイエンスを組み合わせることでその夢を実現しました。この提案は、数年後には生物学の常識になるはずです。

今回の発見

 運動能は生命のもっとも際立った特徴のひとつであり、時には生物種の生き残りの決定打にもなります。これまで数多くの運動能が発見され、またすぐれた研究が行われてきました。しかし、発見されている数多くの運動能を広い範囲で俯瞰した研究はありませんでした。今回、すべての運動能についてそれぞれの基盤となっている力発生ユニットの構造を詳細に比較することで、多様な運動能が実はわずか18種のメカニズムに帰属すること、またそれらの発生と進化が細胞の進化に密接に関係していることを明らかにしました。

研究の内容

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運動能の全体像:中央の鳥が翼を広げたような図が
最新のゲノム情報を基に描かれた「生命の系統樹」。
周囲に代表的な運動能の模式図が示してある。

 新学術領域「運動マシナリー」では、これまでにあまり研究されてこなかった種類の運動能にスポットを当て、それらのメカニズムの多くを原子レベルに迫る解像度で明らかにしました。その集大成として、全ての運動能の俯瞰を行いました(右図)。その結果、運動能が18種類に分類できること、それらの発生と進化が細菌の細胞壁(ペプチドグリカン層)の形成と消失、アーキア(古細菌)から真核生物にいたる膜ダイナミクスの獲得、細胞の巨大化、により説明できることが明らかになりました。

今後の展開について

  (1) 宮田教授の研究チームは、合成生命や無細胞実験系を用いて運動能の進化過程を実験的に検証する研究を行います。また一般的には、(2) 新しい生命やゲノム情報が得られることにより、提案が支持あるいは修正されること、(3) 本研究に触発されて運動能の進化というこれまでなされていなかった議論がさらに進められること、(4) 生命現象メカニズムを理解するためには進化的な見方が不可欠であるため、本研究での提案が個々の運動能メカニズムのより深い理解に寄与すること、などの展開が期待されます。

研究発表動画について

本件につきまして、下記のURLから研究発表動画をご覧いただけます。

https://youtu.be/NLyO4BINOjI

掲載情報

雑誌名:Genes to Cells
論文名:Tree of motility –A proposed history of motility systems in the tree of life– .
運動能の系統樹 –生命の系統樹における運動システム進化についての提案–
著者:  Miyata M, Robinson RC, Uyeda TQP, Fukumori Y, Fukushima S, Haruta S, Homma M, Inaba K, Ito M, Kaito C, Kato K, Kenri T, Kinosita Y, Kojima, Minamino T, Mori H, Nakamura S, Nakane D, Nakayama K, Nishiyama M, Shibata S, Shimabukuro K, Tamakoshi M, Taoka A, Tashiro Y, Tulum I, Wada H, and Wakabayashi K.
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/gtc.12737

共同研究、資金等

本研究は、下記の計画研究の一部として行われました。
・科研費・新学術領域「運動超分子マシナリーが織りなす調和と多様性」(領域代表:宮田)
http://bunshi5.bio.nagoya-u.ac.jp/~mycmobile/index.php