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抗体価を指標とした新型コロナウイルス感染症に対する血清学的診断法の臨床試験開始へ

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本研究のポイント

微量の血液で短時間に判定可能なため、検体採取時の医療者の感染リスクを減らします
既感染の判定にも活用できる診断法で、PCR検査とは互いに相補的な役割を果たします
蛍光計測によって精度が向上し、PCR検査よりも低価格かつ迅速な診断法です
重症化予測および治癒判定に影響する抗体を調べ、治療介入の層別化を図ります

概要

大阪市立大学大学院医学研究科 寄生虫学の城戸 康年准教授、中釜 悠特任講師、金子 明教授、臨床感染制御学の掛屋 弘教授、救急医学の溝端 康光教授を中心とした研究グループは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の抗体価測定システムをMokobio Biotechnology社(メリーランド州、米国)と共同開発し、4月15日より臨床試験を開始しました。

世界で感染が拡大しているCOVID-19の確定診断はPCR検査法により行われています。しかし、PCR検査法が抱える精度、迅速・簡便性、費用対効果の面での課題や、さらには無症状者・軽症者が多く含まれるCOVID-19の爆発的増加の現況を考えれば、PCR検査法のみを用いた感染症対策には限界があります。ある一時点の採取検体でウイルス存在診断を行うPCR検査法の性質の弱点を補うべく、抗体価測定方法の確立は喫緊の課題です。

生体は、感染ウイルスに対して特異的な抗体を産生します。新型コロナウイルス(SARS-CoV2)に感染していなければ、SARS-CoV2に対する抗体は体内に存在しません。感染初期にはIgM抗体が、一定期間が経過し回復期に入るとIgG抗体が出現するため、各種抗体の有無によってCOVID-19の診断と感染時期の推定が可能となることが期待されます。

今回の抗体価測定法では、蛍光計測機器を利用したデジタル判定により、検査者間の判定誤差を回避しています。20 μL程度の微量血液で測定が可能であり、検体採取を容易にしたことで検体採取時の医療者感染リスクが低減します。空港等の検疫や発熱外来、救急外来などでの迅速検査にも活用が期待されます。今後、COVID-19感染後に産生される抗体の質的・量的変化と臨床情報との関連性を明らかにすることで、より効率的な診断や治療方法の選択が可能となり、医療資源を有効利用しながらの感染拡大防止策に貢献することを目指します。 

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