公立大学法人大阪市立大学
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閉塞性睡眠時無呼吸症候群が重症になると急性心筋梗塞後の心筋障害が悪化

プレスリリースはこちらから

この研究発表は下記のメディアで紹介されました。
◆7/9 神戸新聞

本研究のポイント

◇閉塞性睡眠時無呼吸症候群が重症なほど、MRI検査で急性心筋梗塞後の心筋障害が悪化することが明らかに
◇微小血管障害の程度との関連により、閉塞性睡眠時無呼吸症候群が心血管疾患リスク因子であることを示唆

概要

大阪市立大学大学院医学研究科循環器内科学の市川佳誉 大学院生、泉家康宏 准教授、西宮渡辺心臓脳・血管センターの民田浩一 センター長らの研究グループは、閉塞性睡眠時無呼吸症候群 が重症なほど、急性心筋梗塞後の心筋障害が悪化することを明らかにしました。

急性心筋梗塞は心臓に栄養を供給する冠状動脈が塞がることで心臓の筋肉が壊死する病気で、わが国での発症数は増加傾向にあります。致死率が高く、最も有効な治療法は発症早期にカテーテル治療で塞がった血管の血流を再開させることです。しかしながら、カテーテル治療により詰まった血管が開通した後も心臓の筋肉へ十分な血流が行き渡らない症例が存在し、その原因として心臓の筋肉内の目に見えないような非常に小さな血管(微小血管)の障害が原因であると報告されています。近年、閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、急性心筋梗塞を含む心血管疾患の発症及び重症化のリスク因子であると考えられていますが、その関係については明らかにされていませんでした。

そこで本研究では、急性心筋梗塞後の患者さんを対象として、心臓MRIにより心臓の筋肉内の微小血管障害を評価し、閉塞性睡眠時無呼吸の重症度との相関を調べました。その結果、閉塞性睡眠時無呼吸が重症になるにつれ、微小血管障害を認める患者さんの割合が高くなることが明らかになりました。また、重症の閉塞性睡眠時無呼吸は急性心筋梗塞後の微小血管障害の程度と関連があり、心筋梗塞後の症状が悪化するかどうかの判断材料であることが示唆されました。この結果から、閉塞性睡眠時無呼吸症候群が診断されず、あるいは治療せず放置されていて急性心筋梗塞を発症してしまうと心臓へのダメージが大きくなってしまうことが示唆されました。

本研究成果は「European Heart Journal: Acute Cardiovascular Care」オンライン版に令和2年4月30日(木)日本時間18時に掲載されました。

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掲載誌情報

【雑誌名】European Heart Journal: Acute Cardiovascular Care
【論文名】Severe obstructive sleep apnea is associated with coronary microvascular dysfunction and obstruction in patients with ST-elevation myocardial infarction
【著 者】Yoshitaka Ichikawa, Yasuhiro Izumiya*, Koichi Tamita*,Hiroya Hayashi, Hirotoshi Ishikawa, Atsushi Shibata, Atsushi Yamamuro, Minoru Yoshiyama(*責任著者)