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糸山浩司教授(南部陽一郎物理学研究所長)、吉岡礼治数学研究所特別研究員らの研究グループによる論文が「The European Physical Journal C」に掲載されました。

  糸山教授(理学研究科/南部陽一郎物理学研究所長)らの研究グループは、日本学術振興会「二国間交流事業」において、ロシアのInstitute of Theoretical and Experimental Physics(ITEP)との研究交流を長年続けており、この度、「場の量子論」に関する共著論文を発表しました。

  「場の量子論」とは、自然界のあらゆるスケールに対して、人間の理解の基本を与えてくれるいわば万能言語です。空間方向と時間方向に拡がっている物理量は総称的に「場」と呼ばれ、電磁波や結晶の振動の記述を与えてくれます。そのため、「場の量子論」は、理論物理の広い局面で基本となる分野であり、素粒子理論においても物性理論においても重要です。一つの「場の量子論」の中では、いわゆる状態―演算子対応(※1)とよばれるものが成り立っていて、observable(※2)をlabelする上で近年の「場の量子論」の発展に欠かせないものです。

  本論文で発見された対応は、この対応とは全く異なり、2つの異なる「場の量子論」の間に存在する演算子とファイマンダイアグラム(※3)とのfunctorialな関係式です。
 Rank r tensor模型におけるsinglet演算子とRank (r-1)tensor模型のファイマンダイアグラムとの露わな1:1対応を、functorの構成、gaussian averageを通じて本論文は確立し、任意の時空次元での場の理論の同様な模型にも成り立つことを示しました。特にr=3の場合には数学でよく知られたGrothendieck’s dessins d’enfantとのtrialityを形成します。
 ここで得られた対応は、Ads/CFT対応の構成論的理解及び離散的で組み合わせ論的な量子重力の今後の発展に大きく寄与すると期待され、発表以来注目を浴びています。

 論文全文はこちら。
https://link.springer.com/article/10.1140/epjc/s10052-020-8013-8

 (※1)観測と直接関係する初期及び終状態を、真空からの(漸近的な)場から生成されたと考え、対応させる事。


(※2)
量子力学における、原理的に観測可能な物理量。位置・運動量・エネルギーなどの物理量を指し、状態ベクトルに作用する演算子で表される。また、不確定性関係にある二つの物理量を同時に正確に測定することは不可能とされる。


(※3)
素粒子反応を視覚的に表現し,反応の確率を系統的に計算するための平面図。縦軸は下から上へと時間の経過を,また横軸は粒子の空間的位置関係を表す。電子や核子などの運動は上向きの矢印をもつ実線で,それらの反粒子の運動は粒子とは逆に下向きの矢印をもつ実線で表示される。光子のように粒子と反粒子の区別がない場合には,矢印のない点線や波線でその運動が示される。素粒子の放出・吸収・転化は関係する素粒子を表す線の交点(頂点)で生じたと考えられる。図形の各部分には決まった量が対応づけられ複雑な S 行列要素の計算を容易にする。素粒子論のみならず広く多体問題の計算に有効な道具となっている。