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宇宙項を小さくしながら、ゲージ対称性を拡大するメカニズムを、ヘテロティック超弦理論の内挿コンパクト化模型に於いて世界で初めて実現

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本研究のポイント

◇超対称性はプランクスケールで破れ、一方宇宙項は小さくなる素粒子物理の新たなパラダイム
◇今後の探求点として、不安定な極値が宇宙項を十分抑制する準安定真空に落ち着くか否かが焦点になる
◇素粒子物理学の2つの階層性問題が連動する可能性を示した

概要

 糸山 浩司(いとやま ひろし)大阪市立大学大学院理学研究科教授・南部陽一郎物理学研究所所長と、同研究科後期博士課程2年生の中島 爽太(なかじま そうた)さんは超対称性がプランクスケールで破れている超弦理論と従来の超弦理論との内挿コンパクト化模型に於いて、宇宙項の値を小さくしながら、現代素粒子物理学の基本原理であるゲージ対称性を拡大する新規なメカニズムを提案し、最も簡単なコンパクト化の場合に対してゲージ対称性を拡大でき、これと1:1に対応している有効ポテンシャルの様々な極値を決定することに、世界で初めて成功しました。また弦の摂動論の最低次で真の真空が反ド・ジッター時空5になることを明らかにしました。

 本研究の成果は、2020年7月20日、Elsevier社物理専門雑誌 Nuclear Physics Bに著者最終稿がオンライン掲載されました。

 ※1宇宙項…一般相対性理論に基づく重力場の方程式に斥力を発生させるためにアインシュタインによって導入された項で、一時は存在を否定されていたが、近年、宇宙の加速膨張を説明するメカニズムとして支持されている。

2ゲージ対称性…粒子の場が局所的な位相や座標の変換で結果が変わらないこと。すなわち、物理状態を表す波の位相を時空のそれぞれの点で任意に選んでも、同じ方程式が成り立つことをいう。

3超弦理論…弦理論は、粒子を点ではなく1次元の弦として扱う理論であり、超対称性をもたせるように更に拡張した理論を超弦理論と呼ぶ。

4コンパクト化…超弦理論では宇宙の時空構造は10次元とされ、人間が認識できる4次元(縦、横、高さ、時間)に加えて余剰次元(6次元)から成るとされている。この余剰次元はプランク距離( 1033cm)に縮んでいるとされ、この考え方を「コンパクト化」と呼ぶ。

※5反ド・ジッター時空…物質がなく負の宇宙項だけがある場合のアインシュタイン方程式の解として最大の対称性をもつ時空。

資金情報

 本研究の一部は以下の支援を受けて行われました。
・日本学術振興会科学研究費基盤研究C JSPS KAKENHI Grant Number 19K03828
・2019年度 大阪市立大学戦略的研究経費(重点研究) 

掲載誌情報

発表雑誌:Nuclear Physics B
論文名:Stability, enhanced gauge symmetry and suppressed cosmological  
            constant in 9D heterotic interpolating models
著者:H. Itoyama, Sota Nakajima
URL:https://doi.org/10.1016/j.nuclphysb.2020.115111