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ヒカゲノカズラは4.2億年前の体制を保った世界最古の“生きた化石植物”だった

2020年08月28日掲載

研究・産学

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本研究のポイント

◇ヒカゲノカズラは、4.2億年前の体制を保った“生きた化石”だったことが判明
◇ヒカゲノカズラは、これまでに見つかった最古の“生きた化石”である
◇植物の「生きた化石」としては約60年ぶりの発見である

概要

 現在生きているヒカゲノカズラ(図1,2)は、林の縁や土手などに生えるシダ植物のなかまです。ヒカゲノカズラの祖先は約4.2億年前に現れましたが(図3)、その体は地面の上を這う茎と地下に潜る茎からできていて、根を持ちませんでした。

 そこで、大阪市立大学大学院 理学研究科生物地球系専攻の山田 敏弘教授、京都教育大学教育学部 理学科の藤浪 理恵子准教授、日本女子大学の今市 涼子 理事長らの研究グループは、根と茎が成長する仕組みを比べ、「ヒカゲノカズラの根が茎である」ことを発見しました。この発見は、ヒカゲノカズラは4.2億年前の祖先の体制を保った世界最古の「生きた化石」であることを示しており、約60年ぶりの大発見です

 本研究の成果は、Wiley-Blackwell(英国)が発行する科学ジャーナル「New Phytologist」にオンライン掲載されました。
200828図1(左上)ヒカゲノカズラ.匍匐する茎の周りに針の
  ような葉が並ぶ。矢印は根を示す。
図2(右上)ヒカゲノカズラの“根”.スケールバーは
  1 cm
図3(下)約4.2億年前のヒカゲノカズラの祖先の化石。
  ベトナム北部産。ヒカゲノカズラと同じように,
  茎の周りに針のような葉(矢印)が並ぶ。
  スケールバーは1 cm。



資金情報

 1)基盤研究(B);課題番号18H02495;代表者 山田敏弘
           小葉類開墾者仮説がもたらす根の初期進化研究の新展開
 2)基盤研究(C);課題番号 18K06380;代表者 藤浪理恵子
           シダ植物小葉類を用いた軸の分枝の形態進化
 3)若手研究(B);課題番号 25870088;代表者 藤浪理恵子
           シダ植物小葉類の根の分枝様式と分枝メカニズムの解明

掲載誌情報

発表雑誌:New Phytologist(IF = 8.5)
論文名:Lycopodium root meristem dynamics supports homology between
    shoots and roots in lycophytes
著者:藤浪 理恵子(京都教育大学 教育学部 理学科)・中嶋 淳子(日本女子大学
   理学部 物質生物科学科)・今市 涼子(日本女子大学 理学部
   物質生物科学科)・山田 敏弘(大阪市立大学 理学部附属植物園)
URL:https://nph.onlinelibrary.wiley.com/share/6TNHISKQ5GS5P668EW2S?target=10.1111/nph.16814