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ポリグルタミン酸をより高分子化し、納豆をネバネバにさせる納豆菌の遺伝子を特定!(理学研究科 藤田憲一准教授らの研究)

2020年09月24日掲載

研究・産学

 納豆のネバネバの主因であるポリグルタミン酸(PGA)※1は、枯草菌※2の一種である納豆菌が分泌生産する高分子です。これまで、PGA生合成に必須なタンパク質は、PGA合成関連pgsオペロンから翻訳されるPgsB、PgsC、およびPgsAと報告されてきました。

 本研究では、pgsオペロンにおいてpgsAの下流に位置するpgsE遺伝子に着目し、PgsEタンパク質がPGAの生合成に与える影響を動的粘度法や多角度光散乱検出器による分子量解析を通して調べました。

 その結果、PgsB、PgsC、およびPgsAの3つのタンパク質で生産されたPGAは、ほとんど粘性を示さず、47,000の分子量でした。一方、PgsB、PgsC、PgsA、およびPgsEの4つのタンパク質で生産されたPGAは高粘性を示し、その分子量も2,900,000であることが判明しました。

 以上の結果より、PgsEは、PGAの分子量を大幅に向上させ、納豆をネバネバにさせる主因である可能性が示唆されました。

※1ポリグルタミン酸(PGA)…D-およびL-グルタミン酸がγ-グルタミル結合で重合
                       してできた高分子ポリマーであり、炭痘菌のきょう膜
              成分として、あるいは納豆菌の糸引き物質の主成分と
              して分泌生産される。
※2
枯草菌…土壌や植物に普遍的に存在し、反芻動物やヒトの胃腸管に存在するグラム
     陽性のうちカタラーゼ陽性の細菌である。藁などの枯れ草を水に浸して煮沸
     すると、他の微生物は熱によって死滅するが、煮沸液を放置すると、
     本菌の耐熱性胞子(芽胞)が発芽し、本菌が優占して繁殖することから
     枯草菌と呼ばれる。

 ◆掲載誌情報◆
【発表雑誌】Polymer Journal
【論文名】Effect of pgsE expression on the molecular weight of poly
     (γ-glutamic acid) in fermentative production
【著者】Ken-Ichi Fujita, Takashi Tomiyama, Takahiro Inoi, Takashi Nishiyama,
    Eriko Sato, Hideo Horibe, Ryosuke Takahashi, Shinichi Kitamura,
    Yoshihiro Yamaguchi, Akira Ogita & Toshio Tanaka