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ヒト肺炎病原菌で感染の鍵となる分子の構造を解明~マイコプラズマ・ニューモニエの接着、滑走、抗原性変化のタンパク質~

2020年10月14日掲載

研究・産学

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概要

  大阪市立大学理学研究科 宮田 真人(みやた まこと)教授らの研究チームは、ヒトに肺炎を発症させる細菌、マイコプラズマ・ニューモニエがヒトに感染するために接着と滑走を行うためのタンパク質複合体、“Nap”の構造を、世界で初めて原子レベルで明らかにしました。
 本研究は、大阪大学大学院生命機能研究科の難波 啓一(なんば けいいち)特任教授ら、蛋白質研究所の加藤 貴之(かとう たかゆき)教授ら、国立感染症研究所の見理 剛(けんり つよし)室長ら、そしてスペイン、バルセロナとドイツ、フランクフルトの計9つ研究チームとの共同で行われました。
この研究成果は、2020年10月14日(水)18時(日本時間)にイギリスのオンライン科学雑誌である『Nature Communications』に掲載されました。

研究内容

  複合体を構成するタンパク質を単離し、そのそれぞれにつき、クライオ電子顕微鏡と結晶構造の解析を組み合わせることにより、構造の全容を解明することに成功しました。得られた形状は4つのアメリカンドッグが柄の部分で束ねられて、菌体の膜に刺さっているような構造で、柄とは逆の部分の内側に宿主表面に存在するシアル酸オリゴ糖を結合する部位が存在していました。また、宿主の免疫システムから逃れるために構造が変化する部分は主に先端側に分布していました。解かれた構造は、マイコプラズマ研究の分野で約40年にわたって追い求められてきたものであり、菌体の接着、滑走、抗原性変化のメカニズムを理解するための決定的な情報となります。

解明したNap構造 白い部分以外は免疫システムを逃れるために構造が変化する部分。左下の拡大部分が宿主の表面構造であるシアル酸オリゴ糖(赤とスカイブルーで示された構造)に結合する部位を示す。 @大阪市立大学 宮田真人

 

資金情報

 本研究は、下記の計画研究の一部として行われました。
・科研費・新学術領域「運動超分子マシナリーが織りなす調和と多様性」
(領域代表:宮田)
・科研費・基盤研究(A)「病原細菌,Mollicutes綱における3種の運動メカニズム」
・CREST研究・「合成細菌JCVI syn3.0B とゲノム操作を用いた細胞進化モデルの
 構築」(研究代表:宮田)
・大阪市立大学戦略的研究重点研究「急速凍結レプリカ電子顕微鏡法の開発と微生物学
 などへの応用」
・科研費・特別推進研究「クライオ電子顕微鏡による生体分子モーターの立体構造と
 機能の解明」(研究代表:難波啓一,大阪大学特任教授)
・AMED「創薬等先端技術支援基盤プラットフォーム」(支援担当者:難波啓一,
 大阪大学特任教授)

掲載誌情報

発表雑誌:Nature Communications(IF=12.1)
論文名:Immunodominant proteins P1 and P40/P90 from human pathogen
    Mycoplasma pneumoniae
著者:David Vizarraga, Akihiro Kawamoto, U Matsumoto, Ramiro Illanes,
   Rosa Pérez-Luque, Jesús Martín1, Rocco Mazzolini, Paula Bierge, Oscar
   Q. Pich, Mateu Espasa, Isabel Sanfeliu, Juliana Esperalba,
   Miguel Fernandez-Huerta, Margot P. Scheffer, Jaume Pinyol, Achilleas S.
   Frangakis, Maria Lluch-Senar, Shigetarou Mori, Keigo Shibayama,
   Tsuyoshi Kenri, Takayuki Kato, Keiichi Namba, Ignacio Fita,
     Makoto Miyata* and David Aparicio*
URL:https://doi.org/10.1038/s41467-020-18777-y