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サルコペニア・フレイルの悪循環を断ち切る可能性 漢方薬「人参養栄湯」がCOPDの骨格筋合併症に効果があることをマウス実験で証明

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本研究のポイント

◇人参養栄湯の投与で、マウスの骨格筋量と骨格筋機能に関わる遅筋線維が回復
◇運動療法以外に単独の効果が確立されていなかったCOPDに合併するサルコペニア・フレイルの新たな治療法として期待

概要

 大阪市立大学大学院医学研究科 呼吸器内科学の宮本篤志(みやもと あつし)大学院生、浅井一久(あさい かずひさ)准教授、川口知哉(かわぐち ともや)教授らの研究グループは、病後や術後の食欲不振に処方される漢方薬「人参養栄湯」がCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の骨格筋合併症に効果があることを明らかにしました。
 加齢や疾患により筋力が衰え、疲れやすくなり家に閉じこもりがちになるなど、健常から要介護へ移行する中間の段階である衰え全般を「フレイル」と呼び、健康寿命増進のための課題として注目されています。COPDは主にタバコ煙を吸入することにより肺胞が破壊されたり気管支が傷害されたりして生じる肺疾患であり、咳や痰、 息切れの他にしばしばフレイルの中核である筋萎縮や筋力低下といった「サルコペニア(筋肉減少症)」を合併します。フレイル・サルコペニアはCOPDの予後を悪化させる因子として知られており、COPDによる死亡者数増加の一端を担っていると考えられます。そのため、COPDの骨格筋合併症に対する治療は喫緊の課題ですが、運動療法以外に単独の効果が確立されたものがないのが現状です。
 本研究では、人参養栄湯投与により骨格筋組織においてPGC-1α発現が亢進し、COPDモデルマウスの骨格筋合併症が改善されることが示されました。COPD患者においても人参養栄湯を摂取することでサルコペニア・フレイルの悪循環を断ち切ることができる可能性が示され、今まで克服が困難であったCOPDの骨格筋合併症の新たな治療戦略として注目されます。
 本研究成果は国際科学雑誌 『International Journal of Chronic Obstructive Pulmonary Disease』(IF =2.772)に日本時間2020年11月27日午前5時にオンライン掲載されました。

※ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプターγ共役因子1α。筋肉のミトコンドリアの生合成または合成 ・機能向上に関わる因子

掲載誌情報

発表雑誌:International Journal of Chronic Obstructive Pulmonary Disease(IF =2.772)
論文名:Ninjin’yoeito ameliorates skeletal muscle complications in COPD model mice by upregulating peroxisome proliferator-activated receptor γ coactivator-1α expression
著者:Atsushi Miyamoto, Kazuhisa Asai, Hideaki Kadotani, Naomi Maruyama, Hiroaki Kubo, Atsuko Okamoto, Kanako Sato, Kazuhiro Yamada, Naoki Ijiri, Tetsuya Watanabe, Tomoya Kawaguchi.
URL:https://www.dovepress.com/ninjinrsquoyoeito-ameliorates-skeletal-muscle-complications-in-copd-mo-peer-reviewed-article-COPD

資金・特許等について

科研費基盤(C)(19K08660)の研究の一環です。本研究において、人参養栄湯はクラシエ製薬提供の人参養栄湯エキスを使用しました。