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プラスチックの新たな変換法を確立!~低温でのポリオレフィン系プラスチックからの有用化学品合成に有効な固体触媒系の開発に成功~

プレスリリースはこちらから

この研究発表は下記のメディアで紹介されました。
◆2021/1/14 化学工業日報
◆2021/2/8 化学工業日報

本研究のポイント

ポリオレフィン系プラスチックを低温条件下で潤滑油などの有用化学品に変換する
  固体触媒の開発に成功

プラスチック変換の新しい固体触媒技術として期待。

概要

  大阪市立大学 人工光合成研究センターの田村正純准教授と東北大学大学院工学研究科応用化学専攻の冨重圭一教授らは、プラスチックごみの大部分を占めるポリオレフィン系プラスチックの分解に有効な固体触媒系の開発に成功し、低温条件下で有用化学品である潤滑油や液体化学品を高収率で合成できることを明らかにしました。

 ポリオレフィン系プラスチックのケミカルリサイクル技術として油化やガス化などの技術が知られていますが、様々な問題を抱えており、低温条件でプラスチックを変換する技術および有益な化学品原料への直接かつ選択的な変換を可能にする触媒技術の確立が求められていました。本研究で開発した酸化セリウム担持ルテニウム触媒(Ru/CeO2触媒)は、反応温度を従来技術から100℃以上も下げることに成功し、市販のゴミ袋や廃プラスチックにも適用可能であり、高収率で有用化学品を得ることに成功した世界初の固体触媒系です。
 本研究成果は、2020 年 12 月 10日(木)に『Applied Catalysis B: Environmental (IF=16.68)』にオンライン掲載されました。

研究の背景

  近年、プラスチック廃棄物は海洋ゴミや生体系への影響など世界レベルの問題となっています。そのような背景から、プラスチック利用量の削減や適正処理方法の確立が求められており、また、資源循環の観点からもプラスチックの再生、再利用技術は重要となってきています。ポリオレフィン系プラスチックはプラスチックゴミの大半を占めており、そのリサイクル技術の開発は急務です。リサイクル技術の中でも、ケミカルリサイクルはプロセスの低炭素化、廃棄物削減、および原料・化学品供給を可能にするプロセスとして期待されています。ポリオレフィン系プラスチックのケミカルリサイクル技術として、油化やガス化などの技術が知られていますが、一般的に400℃以上の高温を必要とし、また、安価なガスの生成、多量の副生成物、触媒の失活といった問題を抱えていました。エネルギー利用効率の向上、二酸化炭素排出量削減の観点から、低温条件でのプラスチック変換を可能にする技術、また、生成物として高付加価値な化学品原料への直接かつ選択的な変換を可能にする触媒技術の確立が求められていました。

研究の内容

 ポリエチレンをモデル基質とし、触媒開発を行った結果、酸化セリウム担持ルテニウム触媒(Ru/CeO2触媒)が他の金属担持触媒よりも高活性を示すことを見出しました。それにより、200℃といった低温、2 MPaといった低水素圧条件下でのポリオレフィンの変換が可能になり、また、潤滑油、液体化学品といった有用化学品を90%以上の高収率で得られることも明らかになりました。本触媒は、既報の固体触媒と比べ、ポリオレフィン系プラスチックの分解に必要な反応温度を100℃以上も下げることを可能にしており、非常に高活性な固体触媒と言えます。さらに、本固体触媒系は市販のゴミ袋や廃プラスチックにも適用可能であり、高収率で有用化学品を得ることができました。

期待される効果

 本技術により、プラスチックの資源循環サイクルが可能になり、プラスチックごみ問題の解決に寄与できる技術として期待されます。また、石化資源から合成されてきた化学品プロセスに置き換わることで、二酸化炭素、エネルギー、コストが削減され、低炭素社会の構築にもつながることが期待されます。 

今後の展開について

  実用化に向け、実廃プラスチックを用いた触媒プロセスの開発を行っていきます。

資金情報

  本研究は、(独)環境再生保全機構の環境研究総合推進費(JPMEERF20183R03)の支援のもと実施されました。

掲載誌情報

【発表雑誌】Applied Catalysis B: Environmental (IF16.68)
【論 文 名 】Low-Temperature Catalytic Upgrading of Waste Polyolefinic Plastics
     into Liquid Fuels and Waxes
【 著 者 】Yosuke Nakaji, Masazumi Tamura*, Shuhei Miyaoka,
       Shogo Kumagai, Mifumi Tanji, Yoshinao Nakagawa,
                 Toshiaki Yoshioka,Keiichi Tomishige*
【論文URL 】https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0926337320312224