公立大学法人大阪市立大学
Facebook Twitter Instagram YouTube
パーソナルツール
新着情報

複数企業の社内データを産学で共有して新薬創出を加速する 革新的な枠組みの構築に成功

プレスリリースはこちらから

概要

 210308
 この度、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(医薬健栄研)AI健康・医薬研究センター長 水口賢司、国立研究開発法人理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター チームリーダー本間光貴、公立大学法人大阪 大阪市立大学ユニバーシティー・リサーチ・アドミニストレーション(URA)センター URA小村弘らのグループは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の創薬支援推進事業である「創薬支援インフォマティクスシステム構築」(iD3-INST)*1において、国内製薬企業7社と社内データ及び予測モデルを共有する、新規の産学連携の枠組み*2を構築しました。
 この枠組みにより、製薬企業が持つ質の高い薬物動態と毒性のスクリーニングデータからなるデータベース(「連携版」データベース)とそれに基づく予測モデルを創出することに成功しました。さらに、予測モデルを株式会社富士通にライセンスすることにより、iD3-INSTで創出した「基本版」創薬支援プラットフォーム*3を長期的に維持するための仕組み(エコシステム)を構築しました(図1)。
 本成果は、製薬企業の重要な知的財産である化合物情報及びスクリーニングデータを、産学連携において共有・活用する世界的にも先進的な成功事例であり、国内での医薬品創出のためのオープンイノベーションを加速させるものと考えられます。また、創薬支援ネットワーク*4によるアカデミア発創薬への支援機能を増強するとともに、国内製薬企業の創薬プラットフォームの強化に繋がることも期待されます。
 本産学連携の取組は、科学雑誌「Drug Discovery Today」(2021年1月28日付の電子版)に掲載されました。

補足説明

 *1 iD3-INSTはAMEDが「オールジャパンでの医薬品創出プロジェクト」の一環として、2015年度から5か年の計画で創薬支援に活用するためのデータベースや予測モデルを開発することを目的として実施したプロジェクトです。

*2 産学連携はインフォマ産学連携(informatics Public Private Partnership: iP3)協議会にて進められ、iP3協議会には、アステラス製薬株式会社、大塚製薬株式会社、小野薬品工業株式会社、第一三共株式会社、武田薬品工業株式会社、田辺三菱製薬株式会社、日本たばこ産業株式会社が参画しました。

*3 基本版創薬支援プラットフォームは、Web上において公開されている薬物動態・心毒性・肝毒性のデータを収集した基本版データベースと、それらのデータベースを用いて作成された予測モデルからなり、大学等における多くの研究者が利用可能です。

*4創薬支援ネットワークは、大学の優れた基礎研究の成果を医薬品として実用化に導くため、AMED創薬戦略部が本部機能を担い、医薬健栄研、理研、産業技術総合研究所等との連携により、革新的医薬品の創出にむけた研究開発等を支援しています。

掲載誌情報

科学雑誌「Drug Discovery Today」(2021年1月28日付の電子版)
タイトル:A public-private partnership to enrich the development of in silico predictive models for pharmacokinetic and cardiotoxic properties