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認知症などの病態解明に期待 世界初、空間認識を支える脳情報の流れを解明

プレスリリースはこちらから

この研究発表は下記のメディアで紹介されました。
◆3/11 日刊工業新聞、日本経済新聞(WEB)
◆3/12 マイナビニュース(WEB)
◆3/15 医療ニュース(WEB)

本研究のポイント

◇動物の生存にとって重要な空間認識において、海馬で処理される空間情報が下流の脳領域群へどのように分配・伝達されるかについてはこれまで不明であった。
◇「場所」「移動スピード」「道順」といった多様な空間情報は、海馬から海馬台を経て下流の4箇所の脳領域へと、領域選択的・非選択的に伝達されることを解明した。
◇海馬を中心とした記憶・学習システムの動作原理解明や、海馬の機能異常が原因で起きる疾病の解明につながることが期待される。

概要

 大阪市立大学大学院医学研究科神経生理学の北西 卓磨講師、水関 健司教授らの研究グループは、さまざまな空間情報が海馬(注1)から海馬台(注2)を経て下流の4箇所の脳領域(側坐核・視床・乳頭体・帯状皮質)へと分配される脳情報の流れを世界で初めて明らかにしました。
 空間認識に関わる情報は海馬で処理され、海馬で処理された情報は他の脳領域へと伝達され活用されることで脳機能を支えると考えられていますが、どのように分配・伝達されるかはこれまで不明でした。
 そこで本研究では、ラットの海馬台において、情報の伝達先を網羅的に同定しつつ神経活動を計測する大規模電気生理学解析を行いました。その結果、海馬台は、海馬に比べてノイズに強い頑健な情報表現を持つことを見いだしました。さらに、「移動スピード」と「道順」の情報はそれぞれ帯状皮質と側坐核に選択的に伝達され、「場所」の情報は側坐核・視床・乳頭体・帯状皮質の4領域に均等に分配されることを明らかにしました。
 これは、海馬台から下流の脳領域への情報分配の様式を明らかにした世界初の成果で、海馬を中心とした記憶システムの動作原理の解明や、認知症における記憶力低下の病態の理解につながることが期待されます。
 本研究成果は、日本時間3月11日(木)午前4時にScience Advancesに掲載されました。 

掲載誌情報

【雑誌名】Science Advances
【論文名】Robust information routing by dorsal subiculum neurons
【著 者】北西卓磨(Takuma Kitanishi)、馬場良子(Ryoko Umaba)、水関健司(Kenji Mizuseki)

資金・特許等について

本研究は、科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業さきがけ(JPMJPR1882)、科学研究費補助金(20H03356, 19H05225, 18H05137, 17K19462, 16H04656, 16H01279, 20K06878, 19H04937, 17H05977, 17H05575)、東レ科学振興会、武田科学振興財団、上原記念生命科学財団、内藤記念科学振興財団、中島記念国際交流財団、住友電工グループ社会貢献基金、ライフサイエンス振興財団、ブレインサイエンス振興財団、島津科学技術振興財団、ノバルティス科学振興財団、大阪市立大学戦略的研究の対象研究です。