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学生の皆さんの悩みを荒川学長がアドバイス

2021年06月18日掲載

教育・学生

 新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言を受けて、2021年度も現在までほとんどの授業がオンライン授業となり、多くの1年生が大学に通うことができていません。荒川哲男学長の1年生対象の授業「大阪市大でどう学ぶか」で、授業後に1年生が抱える悩みの声を調査。その中で多かった悩みと荒川学長からのアドバイスをご紹介します。

学生相談窓口一覧は、こちらをご覧ください。

Q.学生の悩み

遠隔授業について

学修全般について

コミュニケーションについて

部活・サークルについて

将来について

マインドセットについて

留学について

A.荒川哲男学長からの回答

遠隔授業は対面授業に比べて受け辛く、モチベーションが低下

対面授業は大事です。なるべく早く開始します。しかし、コロナの変異種は想像以上に強烈で、コロナ以外の患者さんも正常な医療が受けられない状態になってます。
私が市大に入学したのは1969年で、学園紛争が激しいときで、東大の安田講堂が武闘派集団に占拠され入試が出来なかった年なんだ。市大でも同じように1号館が占拠されていて、ほとんど休学状態だった。そこで、部活と彼女と自転車旅行に没頭したね。そのときの経験が、そのときには考えてもいなかったコミュニケーション力や人生観、人脈につながり、私の人間形成に重要な時期になりました。これらはコロナ禍でも全部出来ることじゃないかな~。別のことでも、本を読みあさるとか、ボランティア活動をするとか、なんでもいいと思う。コロナ禍はもうすぐ静まると思うけど、それまでは人との密な接触は避けるべきだね。

グループワークをたくさんしたい

今回の授業で同じグループになった同級生も一期一会の仲間になり得るでしょう。対面が可能になるまではオンラインで交流してみるのも新しい形になるかも。自粛期間を無駄に過ごさず、有意義なことを探してやってみることが大事。私の予想では、コロナ禍は近いうちに、おそらく今年中に収束するでしょう。そのときを待って始めるのではなく、今から出来ることを何でも挑戦していくことが大事です。

PCに慣れていないので遠隔授業が不安

みんな同じ悩みを持ってますね。
パソコンは絶対に必要。共通教育の講義にも選択科目としてあったと思う(情報処理演習などのプログラミングを学ぶ機会や、初年次セミナーなどでPCを使ってレポートを書く科目もありますし、ラーニングセンター主催のレポートの書き方を学べるセミナー「レポートのいろは」の個別相談の機会や、ラーニングセンターの一般相談などで相談することも出来ます)。パソコン持ってなければ貸与可能だと思います。学生課内にある「学生なんでも相談窓口」に連絡してください。
WebClass上で課題提出が出来ているかどうかについては、自分でもWebClass上のメニュー「成績」>「マイレポート」より提出状況を確認出来ると思いますが、もしそれでも心配であれば、担当の先生に、その先生が「授業に関する情報および履修方法」などで指定されている方法で、直接確認してみると良いでしょう。それでも回答していただけない場合は、やはり「学生なんでも相談窓口」に問い合わせてみるとよいでしょう。

大学の授業についていけるか不安、授業を後回しにしてしまう

君の悩みは多くの学生の悩みでもあります。まずは、どんな些細な悩みでも悩みについては、学生課内の「学生なんでも相談窓口」にメールか電話で相談してみて。
授業についての不安などは、ラーニングセンターの一般相談を利用して相談してみても良いでしょう。また、授業の不安について、先輩たちの経験などを聞いてみたり、先輩たちに相談出来る機会としては、ラーニングセンターの、「学生交流ベント」や、「先輩の体験を聞く!ラジオ企画withコロナ時代の大学生活」のコンテンツなど、さまざまな企画があります。ラーニングセンターのWebサイトで確認して、参加したり聴いてみてください。

思っていた以上に忙しく、自習時間が取れない

「思っていた以上に忙しい」のは、君だけではないようです。オンラインだから課題が多くなりがちになってます。近いうちに対面授業に戻すように方針決定しています。

課題をためてしまう癖が直らない

課題をためてしまうのは、他にやりたいことがあるから? 「癖」だとどうしようもないな~。直すしかないか。
学修時間を含め、大学では、時間の使い方も自分で計画的に管理できるようになることが大切です。1年生の内から自分に合ったタイムマネージメントができるようになると良いですね。大学での勉強の進め方や時間配分については、ラーニングセンターの一般相談を利用して、相談してみても良いでしょう。また、先輩たちの経験などを聞いてみたり、先輩たちに相談出来る機会としては、ラーニングセンターの、「学生交流ベント」や、「先輩の体験を聞く!ラジオ企画withコロナ時代の大学生活」のコンテンツなど、さまざまな企画があります。ラーニングセンターのWebサイトで確認して、参加したり聴いてみてください。

いろんな学部や学年の人と交流したかったのに…

対面授業が再開するまでは、知恵を絞って友達を作ることは工夫をしてね。なんにでもどんどん挑戦し、ピンチをチャンスに変えてほしい。今回の授業で同じグループになった同級生も一期一会の仲間になり得るでしょう。対面が可能になるまではオンラインで交流してみるのも新しい形になるかも。自粛期間を無駄に過ごさず、有意義なことを探してやってみることが大事。私の予想では、コロナ禍は近いうちに、おそらく今年中に収束するでしょう。そのときを待って始めるのではなく、今から出来ることを何でも挑戦していくことが大事です。会食は最大の感染拡大リスクですのでしばらくは我慢ですね。これは仕方ないです。

一緒に課題をしたり、相談したりする友達ができない

まず、部活・サークルに入ることだね。私が入学したときも学園紛争で授業がなかった。友達は部活ですぐにできたね。50年経った今でも親友だよ。
活動は現在休止せざるを得ませんが、同じ部活・サークルの同級生や先輩との交流は可能です。

初対面の人とうまく話せない

初対面の人との会話をうまく成り立たせるには、まず、相手にしゃべらせること。聞き上手になることですね。そこで、その人のキャラクターを洞察し、たとえばその人の出身地が行ったことのあるところだとしたら、「○○見た。綺麗だった」とか「○○食べた。美味しかった」などで話題を共感的なものにしていくといいと思う。そこで一発、自分のFunny storyで笑わせると完璧!すべっても親しみを持って貰えるでしょう。

フランクに話すのが苦手

私も10代の頃は人とフランクに話すのが苦手でした。恥ずかしがり屋でしたね。でも聞き上手だったと思います。人の話をじっくり聞き、相づちをうっていると、話すときにも余裕ができ、多少面白いことも言えるようになってきましたね。焦らず、聞き上手になって、友達を作り、信頼関係を築いていってね。

仲良くなれるまで自分を出せない

挑戦と経験を重ねて、失敗から学び、小さな成功体験もし、自信を深めることです。私も君の年には恥ずかしがり屋で自信がなく小心者でした。私の経験から分かったことは、人は「隙のある人に気を許す」ということです。受けるギャグもいいですが、すべってみると、それが案外愛されるのです。「またすべりよった。懲りんやっちゃな~」と笑われて親しみが湧くのです。誰でも人の目を気にしますが、彼らは常に完璧を求めているとは限りません。しょっちゅうバカなことを言ってすべりまくってるけど、たまにええこと言うな、と思われる人が私には理想ですね。

まじめな話をすると焦って噛んでしまう

それはよくあることですね。自分から話すのではなく、まず、相手の話をじっくり聞く。つまり、聞き上手になることです。相づちが大事です。「なるほど」「確かにそうですね」などで否定的なことは言わない。相手が言い終わったら、自分の意見を言い始め、相手の意見に反対のところがあれば、まず、肯定的なところから入って、否定的なところは「こうすれば、もっと良くなるのでは」などと、建設的な意見として述べるようにすれば、相手も共感してくれると思います。要は、ディベートは、自分の意見が相手よりも優れているとか勝っているという競うものではなく、知恵を出し合っていいものを創り出していくものにすべきですね。

自分の思いや考えを素早くまとめるのが苦手

誰でもそうだよ。経験を積んで自信を持てるようになることが大事だね。バイトで人と接する経験を積むことは大事だ。初対面のひとと接するときは、まずは聞き上手になることだね。コミュニケーション技術としては一番簡単でいて勉強になる。そのような経験が解決策を教えてくれると思う。

大勢の前でうまく話せない

プレゼン能力は、経験と自信がつけばすぐ向上するので心配いらない。私の経験から言えば、いろんなことに好奇心旺盛に貪欲に挑戦していくことで、自然に身についてくるものだ。なんでも「やってみなはれ!」

サークルが決められない

先輩たちはみんな待ってくれていますよ。中高では部活は何かしてました?まずは、してた部活か、してなかったのなら興味ある部活のキャプテン(主務)か顧問の先生に相談してみて欲しい。情報は、学生課内の「学生なんでも相談窓口」にメールか電話で相談してみて。

いつになったらサークル活動ができるのか

できるだけ早い機会に対面授業と部活・サークル活動は再開します。それまでは、知恵を絞って友達を作ることは工夫をしてね。なんにでもどんどん挑戦し、ピンチをチャンスに変えてほしい。

やりたいことが見つかるのか不安

君の悩みは多くの学生の悩みでもあります。まず、やりたいことを早く見つけるためには、好奇心をむき出しにして、あらゆることに挑戦することです。コロナ禍で、キャンパスで活動できない今でも、別の手段で友達を作ることにもどんどん挑戦し、ピンチをチャンスに変えてほしい。

やりたいことがたくさんあって決められない

進路は常に悩ましいね。だいたいひとつしか選べない。焦る必要はないし、決心が付くまでは悩み抜いた方がいいと思う。しかし、内にこもるのではなく、色々な人と出会い、対話し、積極的に何にでも挑戦していくうちに、見えてくるもんだよ。進路が決まったら、そこに最大限の楽しみを追求していくことです。万が一、進路を変えるべきだと思ったら、選択肢が2つに増えたと思えばいい。①変えずに突き進む②変えて突き進む。人類100年時代。明治時代の平均寿命の2倍 だ。やり直しができる人生で2倍楽しまないとね。確かに、年齢と共に選択肢は減っていくね。4つから一つを選ばないといけないときに、4つとも残したい場合は、あとで手に入る可能性の低いものを選択するね。私の場合、卒業して4つの選択肢があった。①大学病院で研修医②大学院③勤務医④開業医だ。①を選ぶと②③④の選択肢はそのあとでも残るが、それ以外は前の番号には戻れない。収入は番号順に高くなる。私は①を選び次に②を選んで、研究が面白くなって③④はまだ選んでないが、選択肢としては残っている。捨てるのはいつでも自分の意志で決められる。このたとえが当てはまるかどうかわからないが、他の方法でも学べる(たとえば独学やセミナーなど)もの以外のものを選択すればいいと思う。可能性を閉じないようにね。

やりたい仕事がなくなるのではないか

AIによって今の仕事の半分はなくなると言われてますね。しかし、同じくらい増えるとも言われてます。内容は変わってくるけれど、そういった変化に対応できる能力を大学生活で磨いて欲しいのです。それは技術面よりは内面的な人間性の部分ですね。そのうえでテロ対策を考えてみると、技術的な防止策はAIでかなり進むでしょう。しかし、テロが起こる原因、たとえば貧困や戦争、それらに伴う憎悪・怒りの解決はもっと大事なことですね。これはAIではおそらく解決しないでしょうね。そういったアプローチの仕方を考えることも出来ますね。大学生活の中で、自由で熱い議論をすることによって将来すべきことが見えてくると思いますよ。

大きな目標・野望があったほうがよいのか

大学は、自分の人生で自分が何をすべきかを探し見つけるところだ。その目的を達成するために、その目的に応じて大きく2つの道がある。一つは就職、もう一つは大学院だ。就職も、目標を達成できる企業への就職、ベンチャーを起業するなどあるね。また、社会人となっても、必要に応じて社会人大学院でリカレント教育を受けるのもいいね。選択肢はいろいろある。大学生活では、好奇心旺盛に様々なことに挑戦してね。その経験から、目指すものが見えてくるはずだよ。目標は目的を達成するための到達点なので、「野望」はある意味「目的」と一致する。ただし「野望」は自分を満足させる目的だね。SDGsに置き換えると、目的は「人類のすべての幸福」であり、それを達成する17の目標、たとえば「差別をなくそう」であったりする。これは「他利」で「野望」とは違う。「目的」は先にあるべきだが、見つかっていなければ、何にでも貪欲に挑戦し、経験を積んでいくうちに見つかってくると思うよ。目的がはっきりしないまま、何かの小さな目標に向かって行動していくうちに本当の目的が見えてくることもある。なんでも「やってみなはれ」だね。「やらな、なんも見えてきやしまへん」(サントリー創始者の言葉)。

第一志望の大学に行けなかった劣等感がある

簡単に言えば、社会に出たとき何がしたいかを早く見つけることで解決すると思う。要は、ほとんどの受験生が、大学入学を目的化してしまっていて、大学に入ってみると目的を見失うことが、大学での学びに意味づけできない理由になっている。たとえば、社会に出て、犯罪の少ない社会を創りたい(目的)のなら、犯罪がなぜ生まれるかを知るために、心理学を学ぶ、刑務所を訪ねて受刑者に話を聞くなど(目標)が決まるよね。小さな身近なことでいいから、何か見つけて、達成されれば次の目標に移ればいい。それから、大学で磨いて欲しいことは社会で必要とされている「自分で考え行動する主体性」「諦めない粘り強さ」「コミュニケーション力」であり、部活。サークル活動で育成できるよ。市大は課外活動が活発なので活用してね。

受験後の燃え尽き症候群

私も似たようなこと、中学に入学したときに強烈な劣等感を味わったことがある。しかし、柔道部に入って、柔道で実力が発揮できて劣等感が消えていったね。入学できたんだから、トップクラスの能力と努力ができたということでしょ。誇れるものを持っているはずだよ。それを早く見つけて。また、部活には絶対に入ってね。私が入学したときも学園紛争で授業がなかった。友達は部活ですぐにできたね。50年経った今でも親友だよ。

同世代の人に劣等感がある

人間はほぼ劣等感の塊です。私も中学・高校ではそうでした。しかし、一部の一握りの人を除くと、たいして能力に違いはないのに、それぞれが「あいつはすごい。俺に何も勝てるものがない」と思っているのです。「隣の花は赤い」と言うけど、他人を見るときは良いところが見えて、自分を見るときは悪いところが見えてしまうからでしょうね。自分のいいところは自分より他人(友人)が知っているので、教えてもらうか自分で探してみるのがいいと思う。必ずあるので、自分の良いとこ探しをして、自分を好きになってくださいね。

率先して何かをやることが難しい

私も、高校時代までは引っ込み思案で恥ずかしがり屋でした。しかし、好きなこと(例えば野球や絵画)には打ち込んでいました。そういうことで、評価されたいと思ってやっていたことではなかったのですが、結果的にある程度評価を得たのです。評価されると嬉しいもので、そういった小さな成功体験が徐々に自信に繋がってきたね。失敗も多くしたけど、その分、次の挑戦への課題も見えて、「やれば評価される」という自信が持てるようになりましたね。要は、貪欲に挑戦を続け、小さな成功体験を重ねたら自然に自信が付いてくるということです。
まず、率先してやることは、やりたいことを選んでね。最初の第一歩は、誰かに背中を押してもらうか自分で背中を押してください。その場に入ったら、楽しいことを見つけること。普通は見つけようとしなくても楽しいはずです。部活・サークル活動にもぜひ参加してね。絶対楽しいし主体性や粘り強さ、コミュニケーション力が付くし、友達が出来る。

やりたいことが多すぎて優先順位が決められず動けない

やりたいことが多くて困っているんですね。素晴らしいことです! できるだけ全部を平行してやってみよう! そのうち自然に取捨選択されてくるし、新しい興味も湧いてくるよ。どうしても全部いっぺんに無理で、どうしても優先順位がつけられないとしたら、選択に悩んで時間を無駄にするより、くじ引きでもなんでも数個決めてみよう。選択よりも早く挑戦することの方が大事だと思う。

コロナ禍の留学について

コロナ禍の留学は、長期(6ヶ月以上)は今でも個別に検討して認可している。短期も危険レベルの低い国へは近い将来、認可の方向になると思う。そのときの状況によるが、少なくとも来年度以降なら、多くの国で収束しているでしょう。

多くの国を見たほうが良いのか、一つの国をじっくり学ぶほうが良いのか

長期(6ヶ月以上)は1カ所でいいと思いますが、短期ではいろんな国を回ればいいですね。要は「じっくり」+「見聞を拡げる」ですね。いずれにしても、何か目的を持って行ってね。