公立大学法人大阪市立大学
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~「骨髄液由来フィブリンクロット」の解明と応用~ 半月板損傷の臨床成績が向上

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本研究のポイント

◇従来の手術を「骨髄液由来フィブリンクロット併用半月板縫合術」とすることで、簡便かつ効果的に。
◇骨髄液由来フィブリンクロットには豊富な成長因子が含まれている。
◇完治が難しいとされる半月板損傷の治療に光明。
※末梢血由来フィブリンクロット併用半月板縫合術もしくは骨穿孔によって骨髄液を半月板縫合部分に栄養させ、治癒促進させる骨髄刺激法

概要

図1:フィブリンクロットを半月板損傷部位に設置し、半月板を縫合している。 

 大阪市立大学大学院医学研究科整形外科学の橋本 祐介(はしもと ゆうすけ)講師、中村 博亮(なかむら ひろあき)教授らのグループは、骨髄液由来フィブリンクロット※1を解析し豊富な成長因子が含まれること、半月板縫合術に使用し良好な臨床成績が得られることを明らかにしました。
 半月板はスポーツ外傷や加齢的変化によって損傷しますが、自然治癒の見込みは少なく、場合によっては手術が必要です。さらに手術によっても無血行野※2は治すことが難しいとされ、様々な工夫がされています。
 本研究では以前から行われている手術を改良し、骨髄液由来フィブリンクロットを用いて無血行野半月板損傷手術に使用したところ(図1)、良好な臨床成績が得られました。また骨髄液由来と末梢血由来のフィブリンクロットの解析をおこなったところ、骨髄血由来の方がより多くの成長因子が含まれることがわかりました。
 本研究の成果は2021年6月17日(木)に関節鏡手術の医学専門雑誌Arthroscopy: The Journal of Arthroscopic & Related Surgery(IF= 4.325)にオンライン掲載されました。

※ Arthroscopy: The Journal of Arthroscopic & Related Surgeryは整形外科領域82雑誌中6番目、外科系雑誌200雑誌中19番目の権威ある雑誌である。(出典: Elsevier Webサイト内の2019 Impact Factor & Ranking)

補足説明

※1. 骨髄液由来フィブリンクロット
患者自身の骨髄液から作成した血餅(血液が凝固したもの)。

※2. 無血行野
半月板の血液が流れていない部位。血流がないため、自然治癒しにくい

掲載誌情報

雑誌名: Arthroscopy: The Journal of Arthroscopic & Related Surgery(IF= 4.325)
論文名: Biochemical characteristics and clinical result of bone marrow-derived fibrin clot for repair of isolated meniscal injury in the avascular zone
著者: Yusuke Hashimoto, Kazuya Nishino, Kumi Orita, Shinya Yamasaki, Yohei Nishida, Takuya Kinoshita, Hiroaki Nakamura
掲載URL: https://doi.org/10.1016/j.arthro.2021.05.026