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「同種造血幹細胞移植治療」後の合併症を、血液検査で高精度に予測できることを発見

2021年07月16日掲載

研究・産学

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本研究のポイント

◇成人における同種造血幹細胞移植後の重大な合併症の一つ「血栓性微小血管症」の発症に、免疫機能を担う「B因子」という補体が作用している可能性を明らかに。
◇移植後早期の段階で、血栓性微小血管症の発症を血液検査で予測できる可能性に期待。

概要

 大阪市立大学大学院 医学研究科 血液腫瘍制御学の岡村 浩史(おかむら ひろし)病院講師、中前 博久(なかまえ ひろひさ)准教授らと日本補体学会(研究責任者:和歌山県立医科大学 分子遺伝学講座 井上 徳光教授)の共同研究チームは、同種造血幹細胞移植治療後の重大な合併症である血栓性微小血管症の発症を、移植後早期に補体たんぱく質Baの血中濃度測定により、高精度に予測できることを発見しました。
 健康な血液を作っているドナーの造血幹細胞を、白血病などの血液がんの患者に移植する同種造血幹細胞移植治療は、血液がんを完治できる可能性がある一方で、命に関わる多くの合併症が課題となっています。血栓性微小血管症もその合併症の一つですが、その発症メカニズムや治療法は確立していません。
 本研究では、同種造血幹細胞移植を行った患者において、免疫の役割を担っている補体というたんぱく質群の血中濃度を測定したところ、血栓性微小血管症を発症する患者は移植後早期にBaの血中濃度が異常に高くなっていることを発見しました。BaはB因子という補体が分解されたたんぱく質であることから、血栓性微小血管症の発症には移植後早期からB因子が作用していることが明らかになりました。
 本研究の成果により、移植後早期に血中Ba濃度の測定を行うことで、将来の血栓性微小血管症の発症を予測でき、その予防や早期治療が可能となることが期待されます。
 この研究成果は、2021年7月13日(火)に『Frontiers in Immunology』(IF: 7.561)でオンライン公開されました。

補足説明

※同種造血幹細胞移植…白血病などの血液がんを完治させる治療法として、健康なドナーの血液の細胞を作っている造血幹細胞を患者に移植すること。

研究者からのコメント


岡村 浩史 病院講師
 同種造血幹細胞移植治療において、命に関わる合併症は大きな課題ですが、その中にはメカニズムがよくわかっておらず、発症予測や診断が困難なもの、治療法が確立されていないものがたくさんあります。我々の研究結果が、血栓性微小血管症の適切な発症予防法に繋がることを期待しています。引き続き、同種造血幹細胞移植の治療成績向上を目指し、研究を続けていきたいと思います。

掲載誌情報

雑誌名:

Frontiers in Immunology(IF: 7.561)

論文名:

Early elevation of complement factor Ba is a predictive biomarker for transplant-associated thrombotic microangiopathy

著者:

Hiroshi Okamura, Hirohisa Nakamae, Takero Shindo, Katsuki Ohtani, Yoshihiko Hidaka, Yasufumi Ohtsuka, Yosuke Makuuchi, Masatomo Kuno, Teruhito Takakuwa, Naonori Harada, Mitsutaka Nishimoto, Yasuhiro Nakashima, Hideo Koh, Asao Hirose, Mika Nakamae, Nobutaka Wakamiya, Masayuki Hino and Norimitsu Inoue

DOI:

https://doi.org/10.3389/fimmu.2021.695037

資金・特許等について

 本研究は、アレクシオンファーマ合同会社から日本補体学会に委託された研究資金の支援を得て実施しました。また、本研究は科研費(20K07788および17H04108)の対象研究です。
 なお、この研究で開発された、合併症である移植関連血栓性微小血管症のリスクをBaにより検出する方法に関する技術(予測診断薬及びキット)は特許出願されています(特願2020-015285)。