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過去30年1,107例のデータを分析 肝細胞癌(低分化型)の腫瘍サイズと予後の関連性を初めて明らかに ~術後の肝外再発の早期発見に期待~

2021年08月25日掲載

研究・産学

プレスリリースはこちらから

本研究のポイント

◇低分化型肝細胞癌は術後生存の予後不良因子であり、腫瘍サイズが2cm以上、特に5cmまでは予後不良リスクが急激に上昇する。
◇腫瘍サイズが5cm以上の低分化型肝細胞癌は術後早期遠隔転移のリスクも増大する。

概要

 大阪市立大学大学院医学研究科 外科学講座 肝胆膵外科の新川 寛二病院講師、久保 正二病院教授らの研究グループは、肝細胞癌の腫瘍分化度による予後不良リスクは腫瘍サイズとともに増大することを明らかにしました。
 近年国内でも増加している生活習慣病などが原因となって発症する肝細胞癌ですが、肝細胞癌における腫瘍分化度※1と予後との関連性は一定の見解が得られておらず、欧州肝臓学会のガイドラインでも「結論に至っていない」と示されています。
 今回1,107例の肝細胞癌肝切除症例を対象に検討したところ、低分化型は術後予後不良因子であり、腫瘍サイズ5cmまでは予後不良リスクが急激に上昇することが分かりました。腫瘍サイズを<2cm、2-5cm、≥ 5cmに群別して検討したところ、腫瘍サイズ<2cmでは低分化型は予後への影響は認められませんでしたが、腫瘍サイズ2-5cm、≥ 5 cmでは低分化型は1.33倍、1.58倍に予後不良リスクが増大していました。また、腫瘍サイズ2-5cm、≥ 5cmでは低分化型は術後早期再発(2年以内)のリスクが1.34倍、1.57倍に増大していました。さらに、腫瘍サイズ≥ 5 cmでは低分化型は術後早期遠隔転移のリスクが2.33倍に増大していました。
 本研究により、低分化型肝細胞癌は腫瘍サイズ2cm以上で予後不良リスクとなり、特に5cm以上では術後早期遠隔転移のリスクが増大することが分かりました。
 本研究の成果は、肝細胞癌患者への新たな戦略としての応用や術後の肝外再発の早期発見につながることが期待されます。この研究成果は、2021年8月25日(水)0時(日本時間)に『Liver Cancer』(IF=11.74)でオンライン公開されました。

図1:横軸が腫瘍サイズ、縦軸が予後不良リスクを示す。
低分化型肝細胞癌の腫瘍サイズが5cmまでは予後不良リスクが急激に上昇する。
図1:横軸が腫瘍サイズ、縦軸が予後不良リスクを示す。 低分化型肝細胞癌の腫瘍サイズが5cmまでは予後不良リスクが急激に上昇する。

補足説明

 ※1 分化度:癌細胞が元の細胞形態をどれくらい維持しているかを指す。肝細胞癌では、高度の核異型性と多くの核分裂像を伴う形態を示すものを低分化という。

研究者からのコメント


新川 寛二病院講師

 

過去約30年間に及ぶ肝細胞癌患者様の手術情報と臨床データを用いることで今回の研究結果が得られました。

掲載誌情報

雑誌名:

Liver Cancer(IF= 11.74)

論文名:

The prognostic impact of tumor differentiation on recurrence and survival after resection of hepatocellular carcinoma is dependent on tumor size

著者:

Hiroji Shinkawa, Shogo Tanaka, Daijiro Kabata, Shigekazu Takemura, Ryosuke Amano, Kenjiro Kimura, Masahiko Kinoshita, and Shoji Kubo

資金・特許等について

 本研究は、厚生労働科学研究費(H30-肝政-指定-003)の対象研究です。