公立大学法人大阪市立大学
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大豆発酵製品が喘息の気道炎症を抑制 ~気管支喘息の新たな治療方法に期待~

2021年10月07日掲載

研究・産学

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本研究のポイント

◇動物モデルで大豆発酵製品である“イムバランス”が喘息の気道炎症を抑制することが明らかに。
◇現在の治療方法と比べて副作用の少ない、気管支喘息における新たな治療手段となることに期待。

概要

 大阪市立大学大学院医学研究科 呼吸器内科学の門谷 英昭(かどたに ひであき)大学院生、浅井 一久(あさい かずひさ)准教授、川口知哉(かわぐち ともや)教授らの研究グループは、大豆発酵製品であるイムバランスが喘息による気道炎症を抑制する効果があることを動物モデルで明らかにしました。
 気管支喘息は慢性的な気道炎症により喘鳴や呼吸困難などの症状が現れますが、根本的な治療方法がなく、新たな予防・治療法の確立が望まれています。大豆の摂取とアレルギー疾患との関連は過去にも疫学的に報告されており、大豆の成分に何らかの抗アレルギー作用がある可能性が示唆されています。
 そこで、本研究グループは、喘息モデルマウスにイムバランスを添加した飼料を与えて気道炎症に及ぼす影響を調査しました。その結果、イムバランス投与群では、BALF(気管支肺胞洗浄液)中の好酸球数が有意に減少し、気管支周囲の炎症や粘液産生が抑制されていることを発見しました。また、好酸球性炎症を誘導するBALF中のTh2サイトカインや血清IgEの発現も有意に抑制されていました。
 この発見により、今後イムバランスが気管支喘息における治療方法の新規候補として期待されます。
 本研究成果は、2021年9月26日に「Nutrients」(IF=5.717)オンライン版で公開されました。

肺組織における気管支周囲の炎症(紫色)。イムバランスを投与した群では炎症が抑制されている。

肺組織における気管支周囲の炎症(紫色)。
イムバランスを投与した群では炎症が抑制されている。

研究者からのコメント


浅井 一久准教授

 現在の喘息治療に追加する副作用の少ない補完的な対処法として、大豆発酵製品の摂取を勧められる結果であるとともに、更に詳しくメカニズムを検討し、創薬につなげたいと考えます。

掲載誌情報

雑誌名:

Nutrients(IF=5.717)

論文名:

The Fermented Soy Product ImmuBalanceTM Suppresses Airway Inflammation in a Murine Model of Asthma.

著者:

Hideaki Kadotani, Kazuhisa Asai, Atsushi Miyamoto, Kohei Iwasaki, Takahiro Kawai, Misako Nishimura, Mitsunori Tohda, Atsuko Okamoto, Kanako Sato, Kazuhiro Yamada, Naoki Ijiri, Tetsuya Watanabe and Tomoya Kawaguchi

掲載URL:

https://www.mdpi.com/2072-6643/13/10/3380

資金・特許等について

 本研究は、科研費基盤(C)(19K08660)の研究の一環です。本研究において、イムバランスはニチモウバイオティクス株式会社から提供されました。