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C型肝炎ウイルスの経口治療薬が肝がん治療後のがんの進行リスクを低下させることを明らかに

2021年11月08日掲載

研究・産学

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本研究のポイント

◇C型肝炎ウイルスの感染があり初期の肝がんを根治した患者に対し、がんの治療後に経口治療薬(DAA)治療を使用してC型肝炎ウイルスを排除することの有益性を検討。
◇DAA治療は、肝がんの再発リスクを低下させなかったもののがんの進行リスクを大きく低下。
◇肝臓病による死亡リスクや、がんが進行するまでに行った肝がんの治療頻度も低下した。

概要

 大阪市立大学大学院医学研究科 肝胆膵病態内科学の河田 則文(かわだ のりふみ)教授、打田 佐和子(うちだ さわこ)講師、池永 寛子(いけなが ひろこ)大学院生らの研究グループは、C型肝炎ウイルスの感染がある初期の肝がん患者に対して、がんの治療後に経口治療薬(DAA)治療によりC型肝炎ウイルスを排除することで、肝がんの進行リスクを低下させることを初めて明らかにしました。さらに、肝がんの治療頻度、死亡リスクも低下させることを明らかにしました。本研究成果により、DAA治療が肝がん治療後の患者にも有益性が高いことが示されました。
 C型肝炎ウイルス感染症は肝がんの原因となる感染症で、DAA治療はC型肝炎ウイルスに直接作用して増殖を抑える飲み薬です。肝がんになったことのない患者にDAA治療を行うと、肝がんが発生しにくくなることが明らかとなっていますが、肝がん根治後の患者にもがんを抑える効果があるかどうかははっきりしていませんでした。
 今回、本研究グループは、初発で初期の肝がんを根治した患者165例を対象とし、がんの治療後にDAA治療でC型肝炎ウイルス感染症を治すことにより、肝がんの再発リスク、がんの進行リスク、がんの治療頻度、肝臓病による死亡リスクがどのように変化するか調査しました。その結果、DAA治療をした患者としなかった患者では、再発リスクはすでにいくつもの研究で報告されているのと同じく差が見られませんでした。しかし、がんの進行リスクは、DAA治療をした患者で72%も低下しました。さらに、肝臓病による死亡リスクは88%も低下し、治療頻度も1年で59%も低下しました。
 本研究は、2021年11月4日(木)に『Journal of Viral Hepatitis』(IF = 3.728)にオンライン掲載されました。

補足説明

DAA治療: C型肝炎ウイルスに直接作用して増殖を抑える薬で、日本では2014年に承認されました。飲み薬だけの治療で副作用がほとんどなく、多くが2〜3ヶ月程度の短期間で治療が完了します。治療成功率は95%以上と高く、殆どの患者さんでウイルスを排除することができます。薬の価格は高額ですが、日本には本治療に対して医療費を助成する制度があります。

研究者からのコメント


池永 寛子大学院生

 DAA治療は肝がんの治療を経験された患者さんにも多くのメリットがあります。C型肝炎ウイルス感染症を治していない方が、一人でも多くDAA治療を受けられることを期待しております

掲載誌情報

雑誌名:

Journal of Viral Hepatitis(IF = 3.728)

論文名:

Direct-Acting Antivirals Reduce the Risk of Tumor Progression of
Hepatocellular Carcinoma after Curative Treatment 

著者:

Hiroko Ikenaga, Sawako Uchida-Kobayashi, Akihiro Tamori, Naoshi Odagiri, Kanako Yoshida, Kohei Kotani, Hiroyuki Motoyama, Ritsuzo Kozuka, Etsushi Kawamura, Atsushi Hagihara, Hideki Fujii, Masaru Enomoto, Norifumi Kawada

掲載URL:

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jvh.13627

資金・特許等について

本研究は下記の資金援助を得て実施されました。
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)「C型肝炎ウイルス排除治療による肝硬変患者のアウトカムに関する研究開発」(研究開発代表者:大阪大学 竹原 徹郎教授、課題番号:21fk0210058h0003)における分担研究開発課題「HCV排除前後における肝線維化と門脈圧の検討」