公立大学法人大阪市立大学
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研究・産学官連携

「人工光合成研究拠点を活用した低炭素エネルギー循環型都市創造への戦略」

研究成果の概要

 本研究では、1)光合成・人工光合成研究、2)太陽光エネルギーを直接電力に変換する光電変換デバイス開発、3)水素エネルギーを貯蔵及び運搬を可能とするエネルギー貯蔵分子の生成技術及び4)太陽光エネルギーを利用した二酸化炭素の化学原料・ファインケミカルへの変換について研究を進め、太陽光エネルギーを利用した多角的なエネルギー創製・利用・貯蔵・二酸化炭素の原料・資源化技術を集約させた「低炭素エネルギー循環型都市創造」に貢献できる人工光合成基盤技術の実用化について、本学教員のみならず、人工光合成研究センター・文部科学省「特色ある共同研究拠点の整備の推進事業」の「人工光合成研究拠点」(平成28年度から)を介した産学連携システムを十分活用し、出口戦略を見据えた研究を推進した。

 具体的な研究成果のうち、本申請課題で新たに進めた研究項目「太陽光エネルギーを利用した二酸化炭素の化学原料・ファインケミカルへの変換」では、天然の光合成のように太陽エネルギーにより作り出された還元力を使って二酸化炭素を還元、炭素数を拡張し、最終的には炭素数6のグルコースを生成するような人工光合成系はほとんど達成できていなかったが、研究代表者は二酸化炭素を原料とし、炭素-炭素結合生成を可能とする色素分子と生体触媒とで構成される新たな人工光合成系の構築に成功した。その他「人工光合成研究拠点」を中心に研究推進・産学連携事業推進・首都大学東京(水素エネルギー社会 構築推進研究センター)構成員との意見交換講演会も実施し、おおむね目標を達成できた。

第三者評価

評価1

本研究では、「低炭素エネルギー循環型都市創造」に貢献する人工光合成基盤技術の実用化を目指して、1)光合成・人工光合成研究、2)太陽電池の開発、3)水素エネルギーの貯蔵・運搬を可能にする貯蔵分子の生成、4)二酸化炭素の還元・化学原料化、について目的に沿って、適切な研究費利用により、大きな研究成果を上げるとともに、成果の積極的な公表・普及が十分に行われている。その成果は、Nature Communやアメリカ化学会誌などの高レベル学術誌に論文発表、多数の外部資金の獲得、特許申請、メディア取材、受賞、産学連携の実績として、見える形で国内外で高く評価されている。順調な研究発展が進められており、今後の発展に大きな期待が持てる結果になっている。

評価2

本戦略的研究は、これまでの各関連研究プロジェクトの成果を基に、出口戦略を見据えた上で、人工光合成研究のさらなる発展を図るものであり、二酸化炭素を原料とする炭素−炭素結合生成を伴う光ネネルギー物質変換反応など、極めて独創性と重要性の高い成果が創出されるととともに、新たに設定した各研究テーマにおいても萌芽的なものから発展性がうかがえるものまで多くの成果が生み出されている。成果発表については、十分な英語論文発表とともに、一般への成果アピールにも極めて積極的に取り組んでいることから高く評価でき、また研究費の使用についても有効であると評価できる。