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研究・産学官連携

健康都市大阪を目指した都市部多目的コホート研究と健康支援システムの構築

研究成果の概要

 がんと生活習慣病(循環器疾患や脳卒中等)は健康寿命を脅かす最大の原因疾患群である。健康寿命の延伸を目的に、これら疾患に対して確実な早期発見や発症前保因者診断を行い、先制的に介入することが今後の医療の中心的方策となる。先端予防医療センターMedCity21は、先制的予防医療の実践と、未病データの蓄積・解析による新たな研究成果の創出を目的に2014年4月に開設された。

 MedCity21研究部門では、健診者から得られる生体試料(血液、DNA等)と臨床情報を蓄積するバイオリポジトリ事業によって新たな早期診断/予知マーカーの開発研究を行うとともに、非侵襲的診断装置や患者食事支援システムの開発研究を行っている。本研究課題では、2015年に開始したバイオリポジトリと多目的健診コホートへの症例蓄積の促進およびシステムの調整をまず行い、2016年度終了までに計 7381名が登録された。バイオバンクを伴う単施設健常者コホートとして日本有数の規模となることが期待される。また、バイオリポジトリを用いた研究の登録も進んでいるが、独自研究だけでなく、他研究者への生体試料と臨床情報の提供も開始した。「肝内脂肪蓄積と糖尿病発症リスクの関連」等、登録された一部の研究では横断的解析が既に開始され、学会や論文発表が行われた。産学連携事業では、非侵襲的診断機器の開発として肝内脂肪蓄積量の定量を行う装置の研究を継続し特許出願と論文発表を行った。健康を維持する食事支援システムの構築についても、産学連携事業として事業化を行った。

第三者評価

評価1

 本研究は2014年に開設されたMedCity21を基幹とし、大阪市立大学医学部附属病院、ならびに地域の病院や診療所など非常に広範囲な医療施設との連携を基盤に企画されたもので、現代の国民病とも言える“がんと生活習慣病”を対象としてる。参加症例も既に7000名を越え、今後も集積が予定されており、非常に大規模なコホートが構築されており、大都市に暮らす住民を中心に集積された特徴あるコホートは、日本の現在の人口分布状況からも大変貴重で有り、これらをもとに様々ながんや、各種生活習慣病に対して、日本の実態に即したエビデンスレベルの高いコホート研究が促進される環境が整えられたものと判断されます。
 また、これら“がんと生活習慣病”について、発症前からの様々な疾病の発症後までの健康状態や生活習慣、ならびに医学的なデータを経時的に集積し、各々の疾患に関する疾患リスク、発症予測、促進因子、薬剤反応性などについて解析するという企画は従来にはなかった稀な内容であり、独創性が高く、発症後からの後ろ向き研究では得られにくい、新たなエビデンスの発見が十分に期待される。
 さらに本研究では、研究からのアウトカムを、実際の市民の健康状態の改善や、これら疾患の予防に前向きな介入について、具体的なプログラムが産学連携により既に構築されており、臨床医学的にも極めて実効性がたかく、各種疾病の発生予防を通じて、将来的には医療経済の改善へも寄与できるものと考えられます。
 本研究の開始後、現在までの研究業績についても、各種疾患に関連する国内国外の学会で発表され、国内外の雑誌にも既に掲載されている。特許についても脂肪診断装置に関して既に二つ申請がなされ、確実に実績が積み重ねられてきている。また、本研究からは多数の個別研究も新たに企画され、厚生労働省の科学研究費補助金事業やAMEDなどにとして多数が採用され外部からの研究資金も非常に多いことは、本研究の包括的な質の高さが多角的に評価されたものと判断する。
 本研究は発展性が高く、“がんと生活習慣病”に関する質の高いエビデンスの解明と、臨床医学のさらなる向上、ひいては国民の健康と本邦の医療経済の改善にも寄与できるものと考える。

評価2

 本研究のテーマはMedCity21の健診センターで得られた未病者のデータやサンプルを用い疫学研究を行うことであり、本研究のような都市部での疫学調査は報告がなく貴重である。疫学研究は結果がでるまで長期間を要するが、マイクロチップや次世代シークエンサーを用いたバイオマーカーの測定、肝臓の脂肪沈着の非侵襲的測定、インターネット食事支援システムの構築などにおいてすでに成果が13編の研究報告と4編の論文報告されており、AMEDをはじめ9課題で外部資金を獲得している。また特許出願や産学官連携も行われており十分評価できる内容である。

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