健康長寿を実現するための都市部多目的コホート(MedCity21 レジストリー)の樹立と健康支援システムの構築;健康都市大阪プロジェクト
研究成果の概要
健康寿命延伸は国民的課題である。がんと生活習慣病(循環器疾患や脳卒中を含む)は国民の死亡原因の60%を占め、更に健康寿命を脅かす最大の原因疾患群でもある。これら疾患の克服のために、早期発見だけでなく、未病状態やハイリスク群を診断し、先制的に介入することが、今後の医療の中心的方策となる。大阪市立大学は、先制的予防医療の実践と、未病データの蓄積・解析による新たな研究成果の創出、国際競争を勝ち抜く研究者の人材育成を目的に、先端予防医療部附属医療センターMedCity21を開設した。当プロジェクトでは1) がん・生活習慣病の早期発見と早期治療; 2) 疾患を未病以前に発見・予測する新たな診断法の開発; 3) バイオリポジトリ(バイオバンク)の整備; 4) 研究開発を支える人材育成と医学教育への活用、の4アウトカムの実現を目指し、「誰もが健康で安心して暮らせる大阪」に向けた健康拠点を構築する。その中で本研究課題は、MedCity21の健診者から得られる生体サンプルおよび臨床データを蓄積するバイオリポジトリの設立と、それを基に多目的コホートを樹立し、疾患の予知・予防につながる新たなバイオマーカーを発見・開発することを目的としている。また、産学連携事業として、新たな非侵襲的診断機器とそれを用いた診断法の開発を行う。最終的には、これらの開発された技術や得られた情報を基に、がんや生活習慣病の効率的診断や病状・病期の把握、未病段階やハイリスク群の発見・介入を行い、健康都市大阪の実現と健康寿命延伸への貢献を目指す。
第三者評価
評価1
大規模な都市在住者を対象としたコホートの登録は本年末に3000名に達する見込みで順調に進んでいるように思われる。研究成果の完成には時間を要するプロジェクトと考えられ、バイオリポジトリの構築とその活用に向けた体制整備など、2年間の計画の進捗はほぼ計画通りと思われた。メディアにも多く取り上げられ、健診事業本体の認知度も増大しており、コホートの登録進展も益々見込めそうである。
評価2
多数の専門家による研究成果である。個々の研究者が単独に実施してiいたのであれば、このような成果が得られなかったと考える。短期間の研究であるが、新たな外部資金獲得のきっかけになり、内外の共同研究者へのデーター提供の体性ができ、メディアを通じた一般社会へのアピールにもなったと考える。食事支援システムについての成果は少し遅れてはいるが、肝臓疾患に関する成果は特筆すべきと考える。今後、申請書にあるCOPD やCKD、また、研究課題のタイトルでもある都市をキーワードにした研究成果が得られることを期待する。