公立大学防災センター連携によるコミュニティ防災システムの構築
研究成果の概要
本研究では、このコミュニティ防災活動を一般化し社会的に普及させることを念頭に、公立大学防災センター連携を基盤としたコミュニティ防災システムの構築を目的とする。この研究活動は東日本大震災以後の災害対策基本法の改正(H25)、地区防災計画ガイドライン(H26)を受けた我が国の防災の新たな仕組みづくりとその人材育成に資するものである。特に地域に根ざした公立大学のネットワークを基盤にして、全国的共有化と地域特性への配慮された防災教育活動であることに特徴があり、この分野のリーディング研究となっている。
具体的には「災害死ゼロをめざすコミュニティ防災」標榜の下、①公立大学防災センター連携、② 防災教室の開発、③防災教育プログラムの開発、④防災・減災システムの開発、⑤コミュニティ防災連携、⑥国際連携および⑦外部評価を進めた。大阪市立大学及び大阪府立大学、兵庫県立大学、岩手県立大学、首都大学東京、横浜市立大学、名古屋市立大学とで公立大学防災センター連携会議を設立し、大阪市住之江区、堺市南区をモデル地域としたコミュニティ防災教室の実施、コミュニティ協議会の設立、東アジア地域のネパールやアメリカ合衆国カリフォルニア州立大学を中心とする国際連携までの防災教育研究のネットワークを構築した。加えて、地区防災教室ワークブックの発行、いのちラボの認証など、コミュニティ防災教育プログラムの確立に向けた活動を展開した。
第三者評価
評価1
目的①~⑦について計画を上回る成果を含み達成できていると評価する。特に②③⑤大阪市内および堺市との連携による地域防災の進展や、④調査研究、⑥国際連携でのUCLA、UCIとの打ち合わせ、外部資金獲得が評価できる。なお、「公立大学防災センター連携によるコミュニティ防災システムの構築」という中心的目的は、地域拡大することにより地域差を考慮する次の段階に来ているように思われる。それらの指標確立が待たれる。また国際連携の成果が開発途上国でのコミュニティ防災教育を中心としており、当初目的⑥に沿ってはいるが中心的目的からは次の段階に進んでいるように思われる。教育成果の事前事後評価システムについてはジェンダーやエスニシティなどの視点も組み込んだ成果がさらに期待される。
評価2
ワークショップ型防災教室13回,サイエンスカフェ9回といった場が計画的かつ機動的に実施され、本研究プロジェクト目的にある「災害リスク・災害対応の社会実装活動」が概ね達成されている。また公立大学防災センター連携を全国の公立大学に呼びかけ、知識共有とともに、防災分野において地元自治体や地域組織にどんな貢献ができ、また成果が得られているのか、検証がなされつつあることは,本研究プロジェクトがもつユニークな成果として特筆されよう。