交換留学レポート1月号(ドイツ ハンブルク大学)
文学研究科後期博士課程 木戸紗織
クリスマス・マーケット
11月末の降雪とともに、市内のいたるところでクリスマス・マーケットWeihnachtsmarktが始まりました。去年の冬はアルスター湖が凍るほどの寒さだったそうですが、今年はそれを上回るペースで気温が下がっているらしく、思わぬ寒さに戸惑う私とは対照的に、周囲ではホワイト・クリスマスへの期待が高まっています。たしかに、街中を飾る電飾には雪がよく合い、クリスマス・マーケットを中心に街中がキラキラした光でいっぱいです。
クリスマスだけの特別なお菓子
クリスマス・マーケットで最もよく見かけるのがグリューヴァインGlühweinです。これは、スパイスを利かせたホット赤ワインで、店それぞれにオリジナルの味付けがあります。また、シュマルツクーヘンSchmalzkuchenという粉砂糖をまぶした甘いお菓子は子供や女性に人気です。他にも伝統的なツリー用のオーナメントに木工細工、革製品にモダンなアクセサリーまで実に様々なスタンドが軒を並べていて、私も授業後やタンデムで毎日のように訪れました。このクリスマス・マーケットは日中から開いていますが、日が暮れてからの方がはるかに賑わいます。冬至を迎えるこの季節は日の入りが早く、5時前にはすっかり暗くなってしまいます。そんな寒くて長い夜を楽しく過ごす知恵の一つが、クリスマス・マーケットなのでしょう。
市庁舎に飾られたクリスマスツリー
クリスマスまでのもう一つの楽しみが、アドベンツカレンダーAdventskalenderです。これには24の小窓がついていて、中にチョコレートやプレゼントが入っています。この小窓を毎日一つずつ開けながらクリスマスが来るのを待つのです。お菓子メーカーなどによる既成品もありますし、毎年手作りするという友人もいました。私も一つ購入しましたが、窓を開けるときは子供のようにわくわくし、その日の分を開けてしまうと子供のように明日を待ち遠しく感じました。
さて、肝心の24日はと言いますと、一般的に夕方からクリスマスのミサに出かけるそうです。私も友人一家と一緒に参加しました。暗い中雪道を歩くと雪を踏みしめる音だけが響き、とても厳かな気持ちになります。そして、忘れてはいけないのがクリスマスツリー。ドイツではツリーとして本物のモミの木を使うのが一般的だそうで、私がお邪魔したご家庭でも私より背の高いモミの木に電飾やモールが飾りつけられ、根元にはお互いへのプレゼントが置かれていました。
Guten Rutsch!
クリスマスが過ぎてもドイツの12月は終わりません。クリスマスが静かに家族で過ごす時間である一方、大晦日のジルベスターSilvesterは街中で盛大に祝います。二三日前から花火や爆竹の販売が解禁され、年が変わる瞬間、人々がそれを一斉に打ち上げるのです。日本の厳かな年越しとはあまりに対照的でびっくりしましたが、空一面に花火が上がる様子はどんな花火大会よりもダイナミックで感動的でした。
クリスマス・マーケット巡りに家族へのプレゼント探し、イブの日の家族団欒、そして賑やかな年越し……今月のハンブルクはいつにもまして華やかでした。クリスマスがキリスト教にとって重要な行事であることは言うまでもないことですが、それだけでなく、新年に向けて一年の最後を明るく過ごしたいという強い思いが感じられた一ヶ月でした。