2012(平成24)年度卒業式・修了式 式辞
皆様、ご卒業・ご修了おめでとうございます。
永年にわたりご子息・ご息女を支えてこられましたご家族の皆様にも心からお祝いを申し上げます。
本学にとりましても、関係各位をはじめご来賓の皆様方のご臨席を賜り、平成24年度の卒業式・修了式を挙行できますことは、誇らしく、大きな喜びであります。
皆様の多くは社会に巣立ち、高度な専門的職業人となることが期待されています。また、大学院に進学してさらに学業を続ける人、病院等で研修を受ける人、研究者として第一歩を踏み出す人もおられます。
いずれにしましても、今後も大阪市立大学の卒業生・修了生の名に恥じないよう努力し、それぞれの領域で自らの目標を達成してください。
本学では、それが実現できる教育に努めてまいりました。自信と誇りを持ってこれからの人生を歩んでいただきたいと願っております。
一昨年の3月11日に東日本大震災が起こりました。まだ、ほんの2年前の出来事ですが、すでにかなり以前のように感じている方もあるいはおられるかも知れません。マグニチュード9.0という未曽有の地震が我が国を震撼させたことを、自分のこととして受け止め、今まさに、今後の在り方を考えることが求められているのではないでしょうか?
また、原発事故に伴う放射能汚染についても、除染に努力が傾けられてはいますが、地震から逃れられない我が国としては大変に大きな課題が突きつけられたことになります。皆様はこれから社会人として出発されますが、学生の時代とは別次元で再度、これらに立ち向かっていただきたいと思います。
次に、本学における昨年のいくつかのトピックスを述べたいと思います。
昨年の10月にはノーベル医学・生理学賞が山中伸弥先生の受賞と決まり、大喝采を浴びました。皆様もよくご存じのことと思います。本学の医学研究科の卒業生として大いに称賛されるべきと、喜んでおりましたところ、さらに、また、喜ばしいニュースが新年になり飛び込んでまいりました。
理学研究科、複合先端研究機構の神谷信夫教授が、本年の1月に「朝日賞」を受賞されました。朝日賞は学術、芸術などの分野で傑出した業績をあげ、わが国の文化、社会の発展、向上に多大の貢献したことに対して贈られる権威のある賞です。
先生の研究は、光合成のなぞを解く鍵となる「マンガンクラスター」という物質の分子構造を解明したもので、2011年のサイエンス誌の世界の10大トピックスに挙げられました。国家プロジェクトの「はやぶさプロジェクト」と並ぶ我が国からの2つの大トピックスの中の1つとしてとりあげられ、世界から祝福を受けたばかりであります。本学としても大変に名誉に思う次第です。
また、この3月には産学連携拠点としての人工光合成研究センターが完成し、いよいよ本格的に研究活動が新たな拠点で始動いたします。同時に新しい試みとして、7月には「うめきた」地区のナレッジキャピタルに「健康科学」をテーマとした市立大学ゾーンを開設し、全学プロジェクトの産学連携活動に一役買っていただこうと思います。
さらに、2014年の春には、あべのハルカスの21階に医学部の検診事業を含む先端予防医療センター、さらには医学部内に同名の研究所を設置する予定です。今後の21世紀の医療の先端を行く先制医療を中心に、大阪の健康・医療におおいに活躍を期待されるところです。
一昨年に、大学に大学サポーター事務局を設けました。昨年の11月に全学の統一同窓会としての大阪市立大学全学同窓会が設立され、今後はさらに同窓会活動を全学的に進めていただくと同時に大学も今まで以上に協力して参りたいと考えております。
海外では、上海同窓会が結成され、昨年の11月には学生のインターンシップの受け入れにもご協力いただき、この4月には大学の上海拠点を開設いたします。さらにタイのバンコクにも同窓会ができており、今年中には拠点を設けることができればと考えております。
最後に、社会、世界は急激に、あるいは過激に変化し、変容してきています。また、恐ろしいほどの、そして予測すらできない災害も襲ってきます。このような世界においてグローバルな生き方はもう必須なことです。
本日は、社会に第一歩を歩まれる大切な日であります。それとともに社会における生涯学習がはじまる初日でもあります。
皆さま、本学で学んだ「進取の気風」と「在野の精神」を持ち続けてください。
そして健康で充実した生活、そして逞しい生きざまを創ってください。
皆さまの大いなる前途を祝し、本日の卒業式・修了式の私の祝辞といたしたいと思います。
本日は本当におめでとう。
大阪市立大学長 西澤良記